'長旅の部'を終えた1998年6月14日に書きました。
これまで、旅日記を読んでくださいまして、本当にありがとうございました。
桜旅は終わりました。長旅の部は、たった2ヶ月半程度でしたが、ものすごく長かったように感じます。熊本をスタートしたのがはるか昔のことのように思えます。それだけたくさんの思い出と写真を残せたということでしょう。
ここでは、旅を振り返って思うことをいくつか書いてみます。
長旅の部のデータいろいろ
高速道路のサービスエリア・パーキングエリアに泊めた車の中で | 12泊 | 16% |
道の駅に泊めた車の中で | 3泊 | 4% |
普通の駐車場に泊めた車の中で | 27泊 | 37% |
ユースホステル | 27泊 | 37% |
公共の宿 | 1泊 | 1% |
実家・親戚宅 | 4泊 | 5% |
3ヶ月近くに渡って全国の桜を堪能することができ、とても幸福です。
桜に惚れて始めたこの旅ですが、桜への恋心が満たされたような気はしません。かえって思いが更に深まってしまったように感じます。これは贅沢な悩みなのかも知れません。
桜と一口に言っても、濃い紅色の花が控えめに下向きに咲く沖縄のカンヒザクラもあれば、壮麗なソメイヨシノの並木もありました。ピンク色の透き通るような美しさのしだれ桜や、樹齢1000年を越える老樹も印象的でした。また、厳しい冬から開放された人々の喜びを一身に受けて咲く北海道のオオヤマザクラも、派手さこそないものの春の素晴らしさを教えてくれます。
大袈裟な表現ですが、日本は桜の国なんだなぁと改めて思いました。
ところで、正直に言うと、ホームページを作りながら旅をするというのは、2つの点で辛かったです。
やってみて分かったことですが、1日分のページを作るのにだいたい1時間半から2時間ぐらい必要です。桜の最盛期は私も撮影と移動で大変忙しくなり、この時間をひねり出すのが難しくなりました。それで、仕方なく睡眠時間を削り、結果的になかなか旅の疲れが取れませんでした。これが辛かったことの1つ目です。
2つ目は、皆さんがページを読んだときに退屈しないよう、興味を持っていただけるような行動や食事をとらなくてはならなかったことです。本当はだらだら過ごすのが大好きな私としてはちょっと窮屈な旅になってしまったかな、と思っています。
今、もう一度ホームページを作りながら長期の旅をしてみないか? と聞かれたら、もうやりたくない、と答えることでしょう(^^;;;。
ほんの少しの自慢させていただくと、これまでに世界中で、2ヶ月半の間旅日記をホームページで発信し続けた旅人というのはほとんどいないと思います。モバイル環境が一層整備され、ノートPCなどの端末が更に安価になれば、将来こうしたことは当たり前になるかも知れませんが、今のところ世界でも貴重な経験をした数少ない人間なのだ、と、ちょっと悦に入っています(^^;;;。
旅をする上で不安だったのは、交通事故と、夜に何らかのトラブルに遭わないかという2つでした。幸いにしてどちらにも出遭うことがなく、ほっと胸をなで下ろしています。
特に、最近は少年によるナイフを使った犯罪が多くなっているため、どこかでナイフを突き付けたりされないかという不安を持っていましたが、これも杞憂に終わりました。
車で寝る旅は安価で自由度が高いですが、一方、常にトラブルに巻き込まれるリスクがあります。先日も、北海道のある寂しい駐車場で、午前3時頃、車の中で休憩中の会社員が3人の若者に襲われ、現金を奪われた上顔に大怪我を負うという事件がありました。
もし、皆さんが車で寝るスタイルの旅をされる場合は、こうした危険性を理解しておいてください。
(私が「今日の宿」とした各地の駐車場も、必ずしも危険でないとは言い切れません。たまたま私が泊まった日だけ安全だったのかも知れません。
また、将来なんらかの状況の変化で、車を止めて寝ることができなくなるかも知れません。
私としては駐車場の安全性や将来の変化についての責任を取ることができませんので、どうぞご理解ください。)
98年の桜を振り返って
3年前にも桜前線を追いかける旅をしたことはこれまでに何度か書いてきましたが、その3年前に比べて、各地とも桜の花付きが良かったような気がします。
また、山の食べ物が不足するとウソという鳥が里まで降りてきて、桜の花芽を食べてしまうそうですが、私が聞いた限りでは98年はウソの被害があまりなかったようです。
ところで、98年に一番苦労したのは、全国的に桜の開花がかなり早かったことです。事前に考えていたスケジュールが役に立たなくなり、移動にかなりのスピードを要求され、大変忙しい旅になってしまいました。
もし、開花が例年通りならもう少し楽をできたでしょう。
98年もまた、スケジュール上行けなかった桜や、行ったけれどまだ開花していなかった桜がいくつか残ってしまいました。例えば、岐阜県の荘川桜、静岡県の狩宿の下馬桜、神奈川県の紹太寺のしだれ桜、長野県の素桜神社の神代桜、福島県の会津の五桜などです。
また、高知と並んで日本でもっとも早くソメイヨシノが開花した熊本では、その直後に寒い日が続いたせいか開花が順調に進みませんでした。それで、熊本が満開になるのを待っているうちに四国の桜が見頃を迎えて、私も四国に移動したため、九州では熊本以外の桜をほとんど見ることができませんでした。
98年に見逃した桜は、来年以降に時間を作って見に行きたいと思っています。
独断と偏見で選ぶ、98年の桜ベスト5
この章の中のリンクをクリックすると、新しいウインドウで開くように設定してあります。(ただし、'A...target=new'タグに対応しているブラウザをお使いの場合に限ります。)
この章では、私が98年に見た中ですばらしいと思った桜を、名所と名木に分けて5ヶ所ずつ選んでみたいと思います。
このページを参考にしてお花見を計画される方へ
前にも書いた通り、98年の桜は全国的に例年よりも1〜3週間程度早く見頃を迎えました。
将来、このホームページを参考にして桜を見る旅を計画される方がいらっしゃるかも知れませんが、その場合は、98年の見頃が例年より早かったことを念頭に置いてお読みください。
また、各地の桜が99年以降も98年と同じ順番で見頃を迎えるとは限りません。この点にもご注意いただきたいと思います
以前も書きましたが、各地の桜の見頃については、旅の直前に電話で市町村役場などへ問い合わせることをお勧めします。観光客の誘致に繋がるため、どの各市町村も親切に対応してくださいます。
また、観光情報のテレホンサービスを用意している市町村もあります。こうしたサービスが今後増えるとうれしいですね。
なお、各市町村役場の電話番号は、私の旅日記のページをご覧になるか、そこに載っていない場合は道路地図帳やガイドブックの情報を参考になさってください。
モバイル環境を振り返って
ところで、現在のアマチュア向けのデジタルカメラはほとんどレンズ交換ができません。私もFinePix700を使っていて、「このデジタルカメラで焦点距離200mmの望遠レンズを使えたら...」などと感じる状況が何度かありました。
私はキヤノンのフィルムカメラ(EOS-5 2台とEOS Kiss)を使っていますが、それらと同じ使い勝手で、既存の交換レンズが取り付けられるデジタルカメラが安価に提供されることを切に願っています。最近キヤノンとKodakから発売されたレンズ交換ができるデジタルカメラはまだ198万円もするため、残念ながら手が出せません。
ところで、ホームページの更新には、「小次郎」というシェアウエアが大活躍してくれました。このソフトは、手元のパソコンとサーバーのファイルを比較して、パソコンに新しいファイルや更新されたファイルがあれば自動的にまとめてftpしてくれる、ホームページ更新専用のWindows版の優れもののftpソフトです。詳しくは、小次郎のページ http://www.and.or.jp/~kamiyan/kojiro.htmlをご覧ください。
このソフトがなければ、アップロードにかかる手間が倍以上に増え、アップロードミスも何度か起きていたことでしょう。本当にこのツールの作者の方に感謝したいです。
98年7月には、CDMA方式(スペクトル拡散方式)という新しい規格の携帯電話サービスが始まる予定だと聞いています。この方式では、将来データ通信で最高384Kbpsという、現在の携帯電話を利用した場合の数十倍の通信速度が確保できるといいます。サービスエリアがどの程度の速さで広がるかは分かりませんが、将来のモバイルデータ通信の大きな変革になるかも知れないと期待しています。
謝辞
まず、このページをご覧いただいた皆様に感謝の言葉を申し上げたいと思います。
写真や文章が稚拙なため、がっかりされた方もいらっしゃるかと思います。少し言い訳をさせていただければ、短い時間の中で写真を撮り、車の中などなかなか集中できない環境でホームページを作るのは思っていたよりも大変な作業でした。こうした事情をお汲みいただければ幸いです。
また、旅の最初にはできるだけリアルタイムで桜の様子をお伝えし、読者の皆様の98年のお花見の計画に役立てていただきたいと考えていましたが、どうしても写真の撮影や移動を優先せざるを得ず、ホームページの作成は後手に回りました。そのため、桜の様子をお伝えできるのが3,4日後ということも多くなってしまいました。この点もお詫びさせていただきます。
やはり、一人でなんでもやるというのは難しいことでしたね。
それから、応援メールをくださった皆様、本当にありがとうございました。皆様のメールにどれだけ励まされたか分かりません。忙しい旅だったため、個々にお返事を差し上げることができませんでした。この場をお借りしてお詫び申し上げます。
特に、海外からのメールには勇気づけられ、桜情報発信の使命感も持ちました。日本を離れている皆様に、少しでも日本の自然のすばらしさを思い出していただけていれば幸いに思います。
また、このページをご覧いただいているかどうかは分かりませんが、全国各地の桜の名所でお会いした、たくさんの皆様にもお礼を申し上げたいと思います。
楽しいお話や、勉強になるお話など、たくさん伺うことができました。ありがとうございました。
次に、Infowebのスタッフの皆さんにお礼を申し上げたいと思います。
成功するかどうか分からないこの企画に対して貴重なディスクスペースをご提供いただき、更には「桜満開春爛漫」や応援ページなどを通じて私のページの周辺をとても盛り上げてくださったことに、大変感謝しています。
特に、Iさんには実物よりはるかにすてきな似顔絵入りのタイトル画像を作っていただきました。ありがとうございました。
また、Hさんには、応援ページの更新でご苦労をおかけしました。ありがとうございます。
個人的なことになりますが、大切な友人たちにも感謝したいです。
パソコンやデジタルカメラ関連のフリーライターをしているMさん、デジタルカメラについてご意見をいただきありがとうございました。推薦していただいたFinePix700はとても活躍してくれました。
それから、プロ写真家のHさん、写真についての貴重なご意見、ありがとうございました。私の写真の腕はなかなか上がらず、せっかくのご意見が生かせておりません。申し訳ありません。
また、旅友達のUさん、Iさん、前の会社の先輩のYさん、Iさん、高校の同窓生のO君、K君、T君、Kさんを始め、たくさんの方からご意見や励ましのメールをいただきました。心から感謝しています。
最後に
私はまだ旅を続けています。東日本各地をもう少し旅したいと思っています。
ただ、旅の資金にも限界があるため、そのうち再就職しなくてはなりません。
写真については一層の勉強が必要なので、あくまでも趣味として続けていくつもりです。この後おそらく写真とは関係のない仕事に就くことでしょう。
再就職までの間しばらくは、「人生の夏休み」を心からエンジョイして実家に戻りたいと思っています。
なお、私の個人ホームページのタイトルとURLは次の通りです。
風景写真館「旅列島」(http://member.nifty.ne.jp/tabi/)
今回のようにまとまった旅の時間がとれることはもうないと思いますので、今後写真を撮る機会は減ってしまうでしょう。こちらの個人ページの更新頻度は少なくなると思いますが、もしよろしければ時々訪ねてみてください。
それでは、皆様とどこかの旅の空の下でお会いすることがありましたら、そのときはよろしくお願いします。
ありがとうございました。