モバイラー中ちゃんの気まぐれ桜旅 title 2006年11月23日(木)
ネパール・カトマンズ周辺は晴れ

ネパール カトマンズとカカニの丘の間、スワヤンブナート寺院



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1.
手前に植えられているのはソバだと思う。
2006.11.23-ネパール カトマンズとカカニの丘の間(45K)

2.
変わった形に成長した桜。
下のほうの枝が切り取られて薪に
されたせいかも知れない。
2006.11.23-ネパール カトマンズとカカニの丘の間(45K)

3.
天まで至るような段々畑と
くねくねした道が印象的。
2006.11.23-ネパール カトマンズとカカニの丘の間(33K)

4.
集落にぽつんと立つ桜。
2006.11.23-ネパール カカニの丘(37K)

5.
牛と桜。
撮影の場所代 10ルピー(笑)。
2006.11.23-ネパール カカニ(37K)

6.
やっと近づける桜に出会った。
おしべが長いのが特徴。
同じヒマラヤザクラでも、花の形は
木によってかなり違うようだ。
2006.11.22-ネパール カトマンズ市 スワヤンブナート寺院(37K)

7.
日没が近い。
経文を書いたカラフルな布が印象的。
2006.11.22-ネパール カトマンズ市 スワヤンブナート寺院(37K)



旅日記

カトマンズ4日目。
とうとう来た。下痢だ。
正露丸飲んでもビオフェルミン飲んでもストッパ(急な下痢に効くという薬)飲んでも梅干食べてもヨーグルト食べても全く効かない。
とはいえ、せっかく異国に来てどこにも行かないのは悔しい。
あまり良くないことだけど、飲む水の量を抑えるとしばらくはトイレが我慢できることを発見。今日はその手で遠出するか…。

私が一番行きたいのは、ドゥリケル(Dhulikhel)、ナモーブッダ(Namo Buddha)、パナウティ(Panauti)などの西方向の街だ。桜があると聞いている。だが、それらはおととい遭遇した道路封鎖地点の向こう側にあるのだ。封鎖が解除されていなければ行くことは難しい。
ホテルの部屋から何度か電話して現地の状況を知ろうとするが、何度やっても外線がかからない。仕方がないのでホテルのフロントに調べるよう頼んでみた。
しばらくして、フロントから答えが。やはり道路が閉鎖されたままになっていて、車の走れないラフロードを歩くしかないとのこと。これではだめだ。

仕方がない。西方向は明日に延ばして、道路封鎖の解除と、私の体調の回復に期待しよう。
今日はより近場の、カカニの丘(Kakani)とスワヤンブナート寺院(Swayambhunath)に的を絞ろう。こちらも桜があると聞いている。

先日行ったレストランの給仕人Kさん(男性)が、できたらどこかに一緒に行きたいと行っていた。私は高価な写真の機材(計算すると、ネパール人の年収で10年分くらいだった)を持っているから、現地のだまされたり盗られたりするのはとても困る。でも、Kさんは正直な人に見えるし、レストランの店長も「いい奴だ」と言っていたから、信用してみようと思う。
で、そのレストランに行こうとホテルを出ると、さっそくタクシーの運転手に捕まる。
「どこへ行く?」
「カカニの丘とスワヤンブナート」
「40ドルでどうだ」
「ガイドブックには30と書いてあるけど?」
「なら30でいい」
「実はこれから友達を迎えに行って、両替もしないといけない。またここに戻ってくるから」
「OK、分かった」

これで一応値段の雰囲気は分かった。彼のタクシーも、市中を流しているタクシーよりは一回り大きくて快適そうだ。まぁ、彼がいつまでも私を待っていてくれるとは限らないが。

乗り合いバスで行くという手もあるけれど、一時停車を頼むことなんてできないから途中で見つけた桜を撮り逃してしまうことになる。だから、今回私はバスを使えないのだ。

で、レストランに行きKさんと落ち合う(彼はレストランの2Fに住んでいる)。一応、店の車とか使って私を案内してくれるかも知れないと期待して聞いてみたが、今日は私が支払うタクシーで、とのこと。まぁ、いいでしょう。
Kさんは朝食がまだ、とのことだったので、私は彼と別れてまずは両替に行く。

初めて入る両替屋だ。受付は若くて可愛い女の子(笑)。
「40ドル分のトラベラーズチェックからドルへの両替はできるか?」
「うーん、今日ならできる」
「手数料なしでいいか?」
「OK」
彼女は慣れた手つきでお金を数え始めたが、やがて困ったような表情になり、誰かに電話をかける。
「今日はドル札が38ドルしかない」
「じゃあ、残りはルピーでくれ」
「私のボスが手数料をとれと言っている」
「話が違うじゃないか!」
と言っても私のほうが不利だ。私にはドル札が必要なのだ。相手が可愛いこともあり(笑)、仕方なくこちらが折れる。
帰りがけに、
「あなたの店ではトラベラーズチェックからドルへの両替はいつも手数料を取るのか?」と聞いたら、
「Yes」との答えが。だったら最初から言ってくれ(笑)。

そんなこんなでKさんと再び落ち合い、ホテルに戻ると、さっきの運転手はもういなかった。守衛さんの話だとあと1時間ぐらいで戻るとのことだが、時間がもったいないので流しのタクシーを捕まえることにした。

「カカニの丘とスワヤンブナートに寄ってここに戻る。いくらだ?」
「40ドル」
「それは高い。さっきの運転手は30ドルと言った。さよなら」
「ちょっと待て。25でどうだ」
「分かった。25だな」
でKさんと私は乗るが、
「じゃあ、30でいいな」と言う。たまらんなぁ。
「いや、さっき25といったじゃないか。Kさん、降りよう」
「分かった、25でいい」

後でおみやげを買うときにも痛感するが、ふっかけてくるネパール人に対しては、立ち去るしぐさがとても有効だ。

車中でKさんと自己紹介しあう。Kさんは30歳、独身。中東で3年間働いた経験もある。MBAを取ろうと考えていて、一度試験を受けたが落ちたそうだ。MBAを目指しているということはかなり優秀なのだろう。パソコンは持っていなくて、2日に1回インターネット屋に行くという。メールアドレスはyahoo.comで持っている。
(後で現地の事情に詳しい人に聞いたところ、現地では就職にコネが必要なので、例えば大卒の優秀な人でもコネがないと会社に入れず、レストランで住み込みで働いていたりするそうだ。)

Kさんにもドライバーにも、私の目的は写真撮影で、時々「ロクヌス」(止まって)と言うことがあるからよろしく、と頼んである。「ロクヌス」は私が最初に覚えたネパール語だ。NHKの番組「世界遺産」で使われていた言葉だったので覚えた。
相変わらず車と人の行き来が激しいカトマンズ市内を走る。このドライバーも「強引、すり抜け、すれすれ」である。やさしく運転して、と何度か言ったけど、全く聞いてくれない。しばらくはどきどきしたが、これでなんとかぶつからずに済んでいるんだから、もう私が心配することは止めた。事故が起きたら別のタクシーをつかまえるまでだ。
市内を抜けると車の台数がぐっと減る。カカニの丘に向かう道路に入ったのだ。道は市内より更に悪くて相当揺れる。
カカニはカトマンズから約23Km。カトマンズの標高約1400mに対して、カカニは2073mある。
ヒマラヤザクラは、標高の高いほうから咲く傾向がある。言い換えると、寒さを先に経験した場所から咲くのだ。沖縄のカンヒザクラが山の上から咲く現象と共通している。
したがって、現在のカトマンズがほぼ見ごろだから、カカニに近づくほど花が終わっているかも知れないのだ。でも、現地では誰も桜になんか注目しておらず、開花情報は誰に聞いても分からないので、自分の目で確かめてみるしかない。

市内を出て5分ほどで、最初の桜を見つける。
「パーユ、パーユ!」と私は叫ぶ。パーユ(またはバーユとも)はネパール語で桜のこと。私が2番目に覚えたネパール語だ。
「止めようか?」
「いや、花が落ちているからいい」
そう、この後も何十本と桜を見つけたけれど、かなり花を落としてしまっているのだ。とても残念。

でも、時折まあまあの桜を見つけたりもする。そんな時は「ロクヌス」である。

三脚をセットして、フィルムカメラとデジタルカメラを出して、何コマか撮影する。
日本の風景に似ていてなんだかうれしい。でも、写真にはネパールらしさを焼き付けないといけないから、その点では苦労する。また、すでに葉が出ている桜も多い。
何度か「ロクヌス」するうちに、Kさんが三脚などを手伝ってくれるようになった。大変申し訳ない。

やがてカカニの丘に。丘から見た風景はまあまあ。晴れていればヒマラヤ山脈が見えるそうだが、今日はもやがかかっていてだめだ。丘の頂上から見えた桜は2本だけ。
近くの学校を通り過ぎるとき、Kさんがネパール語で子供たちになにやら尋ねている。
「桜があっちにあるらしい」。Kさんにガイドしてもらうために一緒に来たわけではないけれど、案内してもらえるのは助かる。
10分ほど歩いて目的の桜へ。農家と桜の素朴な組み合わせで写真が撮れそうだ。喜んで三脚をセットしていると農家のばあちゃんが大声でこちらに話しかけながらやってくる。ネパール語なので私には分からない。
「場所代として25ルピーよこせとのことだ」とKさん。
「場所代なんて払えないから帰ろう」と私。
ホントに片付け始めたら、ばあちゃんがまたなにやら叫ぶ。
「10でいいそうだ」
「10も払いたくないんだけど」
「でも、撮らなくていいのか」
まぁ、10ルピーぐらいならいいか。お札を渡し、一応英語で「邪魔しないで」と言ったら、ばあちゃんは急いで戻っていった。
ここでも値下げができた。帰ろうとするそぶりは有効だったことになる。

午後3時頃市内に戻る。結局カトマンズ−カカニ間で50本ほどの桜を見かけたが、8割は花がなかった。残り2割の中にも葉を多く出したものが多かった。
今年のネパールの桜は全般的に1週間ほど早かったそうなので、カカニの桜には間に合わなかったということかも知れない。

続いてスワヤンブナート寺院へ。ネパールではヒンズー教徒が8割を越すが、ここは仏教寺院だ。ヒマラヤ最古の仏教寺院とも言われている。
↑クリックで拡大。
スワヤンブナート寺院。
仏塔に書かれた「すべてを見通す
ブッダの目」が印象的。
(↑35KB)



ここにある数十本の桜の林はすでに花を終えていた。花が残っていたのは上の駐車場付近の3本の幼木だけだ。日陰になってしまったので更に残念。

寺院の中で階段を踏み外し、唇と右手から出血してしまった。Kさんには心配をかけてしまった。

スワヤンブナートには若いカップルがちらほら。日本のバカップルみたいに人前でキスこそしていないけど、かなり身体を寄せ合ったりしている。
カトマンズ市内のストリートで若いカップルを見かけないのとは対照的だ。
「Kさん、ここはデートスポットなの?」
「Yes」
「ところで、Kさんには彼女はいる?」
(テレながら)「Yes。週末に会う約束をしている。あなたのホテルの近くに住んでいる。あなたは?」
「ここ10年以上彼女はいない。桜が彼女だ(笑)」

Kさんがちょっとうらやましい。

通勤帰りの人と買い物客でごった返す市内を通り抜け、ホテル着。Kさんの仕事が始まるという夕方6時にはちゃんと間に合った。
Mr.ドライバーにはチップとして2ドル余分に払った。それでもちょっと寂しそうな顔をしていたが。

全般に、花が咲いている桜が少なかった。今日はタイミングを逸したと言える。
次回(もしあるとすれば、だが)はもう少し早く来たほうが、可能性が広がるような気がする。

歌の好きなKさんが日本の歌を教えてくれ、というので、今日の旅にちなんで「さくら」(琴の演奏などでよく聞く唱歌。「さくら〜、さくら〜、弥生の空は〜…」)を教えてあげた。Kさんはすぐに歌い始める。お、なかなか覚えるのが早い。さすがにMBAを目指すだけのことはある。
私はホテルのロビーで、メモ帳に「さくら」の楽譜を書いて渡した。歌詞はローマ字で。
彼は今日も、ネパールのレストランで「さくら」を口ずさみながら仕事をしているかも知れない。



食事などの価格が記載されていることがありますが、これは作成時点のものですので、お読みになっている際には変更になっている可能性もあります。
ネパールルピーは、旅行中の平均交換レート 1円≒0.59ネパールルピー(1ルピー≒1.7円)で計算しています。もちろんこのレートは刻々と変わりますのでご注意ください。


今日の食事
上は控えめな朝食、
中段はこれまた控えめな夕食、
下は壁などに貼られたエベレスト
登頂者たちのボード。こんなにいるのか。
(↑42KB)


今朝までの睡眠時間:
7時間。夜中にトイレに起きたので眠りが浅い。

今日の昼寝:
なし

今日自分で運転した車の走行距離:
なし

今日の宿:
カトマンズ市のホテルマーラ(Hotel Malla)。4泊目。
おなかの調子は相変わらず悪い。どんな日本の薬飲んでも効かない。ハウスキーパーさんに追加のトイレットペーパーを持ってきてもらわないといけなかった。
原因はやっぱり生野菜かなぁ。



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