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1. 唯一咲いていたチシマザクラ。 2003.7.2--北海道斜里町羅臼岳(93K) |
2. チシマザクラのアップ。 2003.7.2--北海道斜里町羅臼岳(43K) |
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3. 根回り1m以上はあろうかという大桜。 花はすでに落ちて、結実が始まっていた。 2003.7.2--北海道斜里町羅臼岳(83K) |
登山は嫌いである(何度登っても好きになれない)。
でも、そこに桜があるなら、仕方がない、登ってあげよう。
6月28日に羅臼岳で桜が咲いていたという情報が入った。天気待ちをしてすでに4日経っている。もしかしたらもう散っているかも知れない。今日はここ数日の中でも山の天気がよさそうなので、思い切って登ってみよう。
私が泊まっていた羅臼町側の山は霧に覆われていたが、知床峠では晴れ。峠から見た羅臼岳は多少霧をまとっている程度で天気は悪くなさそうだ。
午前8時過ぎに斜里町側の木下小屋登山口着。荷物の準備をして9時ごろ登山開始。開始直後からチャレンジ心をいきなり打ち砕くようなジグザクの急坂となり、約12Kgの荷物のせいもあって汗びっしょりになる。1時間ほどで、ヒグマがよく出る場所なので警戒するよう呼びかける立て札があった。ヒグマのえさとなるアリが発生する場所だという。先月初めにもこの近くで登山者がヒグマに遭遇したらしい。一応熊鈴と熊スプレーで武装はしているが、鳥の声にさえ驚きながら歩を進める。
ほぼ標準タイム通り極楽平着。ここまでで数本の桜を見つけたが、どれもすでに落花し、結実が始まっている。
ここではアワフキムシという昆虫が桜の葉の裏にいっぱいの泡を吹いて隠れていることがある。先日登った斜里岳でも同様だった。不思議なことに、この周辺には多種の植物が存在しているというのに、私が見たところ桜でしか泡を見かけなかった。平地では桜以外にもいるそうなのだが。
樹液を吸われた葉はしなびてしまうので、桜にとってはちと迷惑な存在だ。
12時40分、銀冷水着。ちょうど5人の登山道整備の作業員が休憩されていた。きっとお詳しいだろうと思って桜が咲いている場所を尋ねると、「そこにあるよ」と異口同音に指差す。なんと私の頭の後ろ、銀冷水の広場の真横で咲いているではないか!
更に、「ここより上には桜はない」「咲いているのはこれ1本だけ」といった貴重な情報を教えてくださった。午後の作業に出発する作業員の皆さんにお礼を言い、私はじっくりとその桜と向き合う。
山の桜らしく花の数はあまり多くない。つぼみと、見事に咲いた花、そしてすでに花は散ってガクだけになったものとが1本の木に共存している。
葉の表裏にびっしりと細かい毛が生え、小花柄にも毛がある花がある。チシマザクラと言ってよいだろう。
決して絵になる姿かたちをしているわけではないが、貴重な花なので2時間ほどかけてじっくり撮影した。
ほとんど足元しか見ていない登りよりも、視界にある程度余裕のある下りのほうが桜を見つけやすい。そんな中で、驚きのあまり声をあげてしまった木がある。弥三吉水から10分ほど下ったところだ。根回りは1mを超えていると思われ、太さ10cm以上の10数本もの枝が四方八方へ伸びている大樹だ。多少の枯れ枝はあるものの、全体としては元気だ。利尻島の時と同様、私からこの木に、謹んで「羅臼岳の女王様」という称号を差し上げた。
参考までに私が見つけた桜の本数をまとめると次のようになる。見逃している可能性があるので参考程度に見ていただきたい。興味のある方は登山地図と対照していただくとよいと思う。(カッコ内は標高)
木下小屋登山口(230m) | 〜 | オホーツク展望(485m) | 12本 | |
650m岩峰 | 〜 | 極楽平(800m程度) | 5本 | |
極楽平(800m程度) | 〜 | 銀冷水(1035m) | 5本 | |
銀冷水(1035m) | 1本 | 今回撮影 |
エビフライ丼 (↑33KB) |