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1. 湖へ続く歩道沿いに咲くチシマザクラ。 2003.7.1--北海道羅臼町羅臼湖(61K) |
2. チシマザクラのアップ。 まだ3分咲きぐらいだ。 2003.7.1--北海道羅臼町羅臼湖(53K) |
羅臼湖とそこへ向かう歩道沿いで桜が咲いている頃だという情報が入った。本当は斜里岳に登った翌日には訪ねようと思っていたのだが、低気圧の接近で2日間霧雨が続き、行くことができなかった。今日は、ふもとから見ると山が霧に覆われているが、雨は落ちてこない。果たして湖までたどり着けるだろうか。
国道から湖の入り口を眺めると、雨はなく、南から時々霧が流れてくる。初めて行くから、濃い霧にまかれて道が分からなくなるのが怖い。また、霧の時はヒグマがよく活動するというから、これまた怖い。羅臼湖周辺はヒグマの住処で、時々道に足跡が残っていたりするらしい。ヒグマの領域に我々人間が踏み込んでいるのだ。
だが、入り口付近に車が何台か並んでいて、すでに何人かが入り込んでいるらしい。また、怖がりの私は熊鈴と、熊よけスプレーも持っている。道に迷ったときのためにハンディGPSと地図もある。勇気を持って歩道を歩き始める。
歩道はあまり整備されておらず、かなりぬかるんでいる。ビジターセンターの方のアドバイス通り長靴をはいてきて正解だ(北海道のホームセンターで買った780円の安い長靴だが)。
足元の悪い中最初の斜面を5分ほどで登りきったところで、あっけなく桜と出会った。
根回りは50cmもなく、幹の直径も10cm以下とまだ若い木のようだ。歩道に枝が張り出しており、2本の小枝がハイカーによって折られてしまっているのが残念だ。葉の裏表にびっしりと産毛が生え、小花柄に毛が生えた花もある。チシマザクラと言ってよいと思う。
花芽はあまり多くない。その花も、まだ3分咲きといった感じだ。もし時間が許すなら、数日後にまたここを訪ねてみたい。
この先、歩道の行き止まり付近にも桜があるそうなので、更に歩道を進む。霧は歩道を覆い隠すほど濃くはなく、また、奥に進むほど霧が晴れてきた。一方、道は意外とアップダウンがあり、雪渓を縦断する区間も残っていて、ちょっとした登山みたいだ。標準タイムより少し時間がかかって、1時間ちょっとで終点の羅臼湖が見えてきた。
目指す桜は羅臼湖の手前5分ほどのところにあった。かなり大きくて生命力のありそうな桜だったが、残念ながら花はすっかり落ちていた。
歩道ですれ違ったビジターセンターの職員の方によれば、この周辺の桜を含めた植物の開花状況は、標高よりも、冬の降雪や、残雪の残り具合に影響されるという。羅臼湖近くの桜のある場所は、山からの風が強く雪が積もりにくい場所なのだという。そのため、開花は6月中旬ごろと早い。一方、入り口近くの桜のある場所は残雪が残りやすいという。そのため、この一帯の中でも最も花が遅い場所の一つだそうだ。
途中、左の笹やぶからガサガサっという音がして、とうとうヒグマと遭遇したかと驚いて振り向くと、鹿がぴょんぴょんジャンプしながら移動していた。なるほど、人間だったら入り込むのがいやになる笹やぶも、そういう移動の方法なら便利だ。今度は反対からガサガサ。これも鹿の仕業だった。
午後3時に国道に戻った。今年も7月の桜に出会うことができて、幸せだ。
ほっけの焼き魚 (↑44KB) |