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1. 笹などに混じって桜が咲く。 背景は雨竜沼湿原。 2003.6.24--北海道雨竜町雨竜沼湿原展望台下(90K) |
2. チシマザクラのアップ。 中央下の葉の表面に、わずかに毛が生えているのが分かる。 チシマザクラの特徴だ。 2003.6.24--北海道雨竜町雨竜沼湿原展望台下(84K) |
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3. 山頂に続く峰の直下で咲いていたチシマザクラ。 花芽は少ないがこれで満開だ。 2003.6.24--北海道雨竜町南暑寒岳(60K) |
登山は嫌いである(これまで何度も書いてきたので、その嫌いな度合いが分かっていただけるだろう)。
でも、山に桜があるなら、登らざるを得まい。
南暑寒岳とその途中にある雨竜沼湿原周辺で桜が咲いているとの情報が入った。町のホームページに最近の開花レポートが掲載されている。これは急いで行くしかない。
登山口から緩急のある坂を登って約1時間20分、湿原手前の水場(煮沸しないと飲めないので念のため)で桜を見つけた。町のホームページに書いてあった通りだ。少なくとも3本あった。どれも山道から離れていて近づけないためよく観察できなかったが、タカネザクラがチシマザクラであるのは間違いないだろう。チシマザクラは、タカネザクラの花柄や葉の両面に毛が生えたものだが、専門家によればタカネとチシマの特徴には連続性があるため、厳密に区別する必要はないという。
残念ながら花は散り始めている。花がよく残っている下のほうの枝は、35mmカメラで300mmレンズを付けないと写らないほど距離が離れている。壊れたデジカメの代わりに現在使っている5年前の機種では到底写らない。
湿原を横断し、再び斜面が始まるあたり(木の階段付近・湿原展望台下)で更に4本の桜を見つけた。こちらは満開。階段横の桜は葉の両面にうっすらと毛が生えていて、チシマザクラの特徴を明瞭に示している。
そこから更に登坂だ。1時間ほど登った8合目付近で6本の桜を見つけた。2本は幼木に近いせいか花の形跡がない。残りは不思議なことに、標高の低い湿原付近より花の進みが早い。3本は花が完全に落ちて結実が始まっており、1本だけが辛うじて少しだけ花を残していたのみで、写真は撮れない。8合目手前でいやに暑いなと思って温度計を見ると26度を指していた。下では気温を計らなかったが、明らかにこちらのほうが暑い。
途中、マルハナバチを何匹か見かけた。この蜂はチシマザクラによく集まっているから、きっと桜のありかを良く知っているに違いない。もし会話ができるならじっくり聞きたいものだが、彼らはブンブンうなっているだけだ。
そこから更に雪渓を渡ったりして、約30分で標高1296mの山頂着。
山頂でいろいろと話をした男性の登山者が、お湯を沸かして紅茶を入れてくれた。特に8合目周辺で汗びっしょりになって体内の水分が減ったはずなので、ありがたくいただく。
山頂周辺には桜はなさそうだったが、山頂の峰の直前に桜が咲いていたのでそこまで戻る。これは根回り7,80cmは超えようかというかなりの大木だ。花は満開のようだが、もともと花芽が多くなかったようで少し寂しい感じだ。こんなに厳しい土地で生きていたら仕方がないだろう。
途中すれ違った登山者によると、暑寒別岳から南暑寒岳へ向かう途中、南暑寒手前1時間ほどのところで桜が咲いているのを見たという。ただ、ここは上級者コースだし、今日は時間がなくてそこまで足を延ばせない。いつか行けるようになる日まで、その桜のことは記憶に留めておこう。
今日は合わせて14本の桜に会えた。開花状況をまとめると、湿原手前で落下盛ん、湿原奥で満開、8合目でほとんど落花、頂上近くで満開となる。標高の高い頂上付近が遅いのは当然として、湿原奥でまだ満開だったのは、北向き斜面という地理的な条件と、湿原で気温が上がりにくいためではないかと推測する。
桜の群落が維持できているということは、きっと何十本、何百本という桜がこの山に生えていることだろう。
日没までまだ時間があると思ってのんびり下山していたら、北東方向から霧が流れ込んできた。気温も一気に10度近くまで下がる。休憩もそこそこに歩きにくい坂を下る。
日没近い午後6時半にやっと下山。収穫の多い登山だった。車に戻って飲んだガラナドリンクがうまかった。
食べるじゃこ飯弁当 (↑49KB) |