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1. やっと見つけた自生のカンヒザクラ。 原生林の中で、他の木に負けずにりっぱに育っている。 2003.1.28--沖縄県石垣市 市民の森(35K) |
石垣在住のAさんとは朝8時半に待ち合わせをした。Aさんも山の中では桜を見かけたことはないとのこと。それでもかまわないので案内していただくことにした。
午前中は荒川の右岸の細い登山道を探る。地図に載っていないだけあって、草やつたを刈らないと通りにくい場所があるほどの悪路だ。急な上り坂に苦労しながら2時間近く桜を探すが全く見つからない。これではらちがあかないと、Aさんの提案で石垣市役所の林務係を訪ねて詳しい地図をもらうことにする。Aさんは市役所の中にお知り合いが何人かおられるらしく、心強い。
車で30分ほど走って市役所着。詳しい地図は林務係には見当たらないとのことだったが、教育委員会にはあるそうなので別の建物へ移動。果たして教育委員会には桜の調査資料があった。とてもうれしい。桜の詳しい地図を含め、必要な箇所のコピーをいただく。その資料によれば、1988年から1990年の調査で374本もの桜が確認されたという。
更にAさんの案内で図書館にも行ったが、こちらにはめぼしい資料はなかった。
地図で再検討の後、今度は川の左岸を歩いてみることにする。荒川は水源として使っているため入山許可が必要なので、市役所水道部から許可をもらう。
左岸の道は右岸より更に悪く、2回の渡河があったり、小さな沢をさかのぼったりもするが、地図に何本も載っている桜に全く出会わない。
おそらく、道から見えない難しい場所にあるか、あるいはすでに枯れてしまったのだと思う。
悪路と15分ほど戦って、そろそろ引き返そうと思い始めた頃、
「あった!」
Aさんが突然叫ぶ。見ると、緑濃い一面の原生林の中に、まるで別世界の生物の如くぽつんとピンク色が輝いている。確かにカンヒザクラだ。
やっと見つけたという感動のあまり、しばらくぼぉっと桜を眺めてしまう。Aさんも気の抜けた私を黙って待っていてくれる。
桜は対岸の斜面にある。樹高は10mほどだろうか。日光を得るために周りの木々と背の高さを競ったのだろう、沖縄本島などで見かけるカンヒザクラよりも樹形が縦に長い。
桜が生えている場所には簡単に近づけそうにない。しかも桜はすぐそばまで他の木々に囲まれているから仮に近くまで行けたとしてもいい写真は撮れないだろう。見通しのよい離れた場所から方向を変えつつ桜の写真を撮る。
フィルムカメラを構えたが、日光がなかなか当たらずシャッターが押せない。明日もう一度ここに来よう。
この後地図を元に右岸の道を再度登ってあちこち探し回ってみたが、あるはずの桜に出会えなかった。こちらも、難しい場所にあるのか、枯れてしまったのだと思う。
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