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1. 2輪だけ咲いていたジュウガツザクラ。 8月の桜にやっと出会うことができた。 2002.8.31--神奈川県鎌倉市 報国寺(34K) |
私は真夏を除く1年を通して桜を追いかけてきた。1年を月単位で区切ると、1月から6月、9月から12月の桜はたくさん見てきた。7月の桜も昨年初めて見ることができた。でも、8月の桜はまだ見たことがなく、それを見ることが1つの目標だった。
そんな中、鹿児島県志布志町の個人宅で秋咲きの桜が満開になっているという新聞記事を友人が教えてくれた。個人宅だから見せていただけるかどうかは分からない。でも、8月の桜のためには行くしかない。
そう思って飛行機の予約までばっちり済ませたのに、九州西部を北上中の台風15号のために鹿児島は大荒れの天気だという。隣の宮崎空港へ行く便には欠航も出ている。たとえ運良く鹿児島に降り立つことができたとしても、風雨が強いと撮影は難しい。
今回鹿児島へ行くのはあきらめざるを得ない。
冷静になって考え直した。桜の花芽は夏の間に作られる。だから、桜の花のシーズンは秋に始まり初夏に終わると私は考えている。今年は春が早かったため、花芽が作られ始める時期が例年より早くなった。ということは、咲き始める時期も早まるかも知れない。しかも先々週は関東沖を通った台風に向かって北から吹き込んだ風のため、関東地方でしばらく涼しい日が続いた。身近なところに、秋が来たと勘違いして咲き始めてしまった桜があるかも知れない。
いくつか心当たりの場所に電話をしたら、1箇所だけ、鎌倉市報国寺で咲いていることが分かった。よし、8月の桜に会ってこよう。
報国寺の桜を見上げて花をじっくり探す。あった。たった2輪だが、2mほど先の枝に暑さに負けず可憐に咲いているではないか。
特に、向かって右側の花は形が良くてふっくらと咲いている。
ここにあるのは八重咲のジュウガツザクラ。お寺の方によれば、例年は9月下旬から咲き始め、花が多いのは名前の通り10月だという。8月に咲いたことはこれまでにないそうだ。
やはり花芽の作られた時期との関係で早く咲いたのだろうか。
境内には他にも春咲きの桜が何本かあり、まだ青々とした葉を茂らせている。でも、ジュウガツザクラの葉はすでに半分ほども落ち、残った葉も黄色く変色したものが多い。桜の葉は一般的に花の開花を抑える働きを持つ。こうした葉の落ち具合もジュウガツザクラらしいと言えるだろう。
ここに来る途中で買ったフィルムカメラ用の100-400mmズームレンズがさっそく活躍する。昨シーズンまでは200mmまでのズームしか持っておらず、遠くにちらっと咲く秋・冬の桜が豆粒みたいにしか撮れなかったのだ。高額なレンズだが自分の可能性を広げるために清水の舞台から飛び降りるつもりで投資した。
桜に届く木漏れ日が変化するので、いい光線状態を待ちながら1時間近く桜の前で過ごす。有名な竹の庭を見に来た観光客は、私がいったい何を撮っているのだろうといぶかしみながら通り過ぎる。
気温30度の暑さと蚊に悩まされながら、蝉しぐれの中で見る桜もまた格別だ。
たった2輪とは言え、ずっと目標だった8月の桜にやっと会うことができた。
これで、「毎月桜カレンダー」も作ることができるようになった(笑)。
昨年9月から続いている「毎月花見」も、一回りして12ヶ月を迎えた。
来年からも頑張って8月の桜を探したいと思う。
いよいよ2003年の初夏へと続く桜のシーズンが始まった。
今シーズンの桜たちよ、どうぞよろしく。
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