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5. こちらはすっかり枯れてしまった大桜 2002.2.3--沖縄県本部町 大堂(71K) |
昨夜、宿の方がお知り合いに大宜味村の百年木の場所を聞いてくださった。お1人目は不在、お2人目も不在で、これはだめかと思ったが、3人目の方が偶然にもご存知で、場所を詳しく教えてくださった。お知り合いの方とお宿の方に感謝したい。
朝食もそこそこに宿を出て、昨日お会いしたSさん、Yさんと大宜味村の国道58号線横で待ち合わせる。ちょっと道に迷いながら山道に入る。車が進めなくなったところから徒歩。立て札もない中、見物帰りの方から道を教わりながらぬかるみ道を15分も歩くと、地面にピンク色の花びらがびっしりと落ちている。
桜の花びらである。不思議だ。
沖縄に咲くカンヒザクラは、花びら1枚1枚が落ちるのではなく、めしべだけを残して花びらとおしべが一体になって落ちるはずだ。
やがて、木々の間から巨大な桜が見え始めた。
「すごーい!」期せずして3人の口から感嘆の言葉が漏れる。
百年木は、枝張りが約20m、高さは15mほどはあろうか。私がこれまでに見たカンヒザクラの中で一番大きい。カンヒザクラ以外でも、これだけの大きさの桜は少ないだろう。
さっそくカメラをセットする。でも、雲が多くてなかなかいい写真が撮れない。
そのうち、見学者がどっと押し寄せてくる。中には、桜の横のシークワーサー(小さな柑橘類)畑にレジャーシートを敷いて宴会を始めるグループもある。ガスコンロも持ってきていて、いろいろ調理しておられる。沖縄の人が花見の宴会をしている様子は初めて見た。グループの方によると、「毎年ここに来てますよ。宴会をやるかどうかは場所によるのではないですか」とのこと。「沖縄の人は花見をしない」という私の先入観が取り払われた。
桜について、地元の方数人にいろいろ伺ってみた。
毎年1月最終週が見頃であることや、新聞には自然木と書かれていたがここにお屋敷があって人が植えたという説もあることを知った。また、花びらが散るのはこの桜だけの特徴で、近くのほかの桜はそういう性質を持っていないとのことだった。
地元のプロカメラマンから話を聞くこともでき、光線状態がいいのは午後1時ぐらいまでであることを知った。
さらに、本部町の大堂(うふどぅ)という場所に、この木に匹敵する大きさの桜があることを教えてくださった方もいた。
先に帰るというSさん、Yさんと握手をして別れ、私は光線待ち(いい太陽光線が差すのを待つこと)をする。だが、雲が多かったり見物客がファインダーに入ったりで、結局あまり納得のいく写真は撮れなかった。
私がいた3時間半ほどの間に、100人ぐらいの見物客が来ただろうか。
午後1時を過ぎて移動することにした。行き先は本部町大堂。もう1つの大桜を見てみたい。
大堂では桜の場所に行くわき道が分からない。公園でゲートボールをしていたおばぁ(おばあさん)に道を尋ねる。すると、「あの桜はもう枯れちゃったよ」という。本当?
自分の目で確かめるまでは信じられない。伺った山道を車で走り、これ以上無理というところからは徒歩で桜を目指す。だが、道が途中から草だらけになり、ハブがいそうな気がしていったん車まで戻る。どうしようか思案している時に、買った土地を見に来たという地元の方に出会った。桜までの道を伺うと、うれしいことにそこまで連れて行ってくださることになった。
「桜が枯れてしまったと聞いたのですが」「残念ながら、3,4年前に枯れました」。やはり事実だったか。
桜は草ぼうぼうの道のかなり奥にあった。根っこから太い枝が7,8本も出て、四方八方に広がっている。枝張りも大宜味村の百年桜に負けないくらいある。だが、太枝の皮がめくれてシロアリの食ったような芯が見えたりしている。太い枝の先にあるはずの細い枝や葉や芽は一切ない。桜の時間はすっかり凍り付いていた。
私を連れてきてくださった方の中には、偶然役場の方もいらした。
「3,4年前に新聞に桜が枯れそうだという投書が載って対応をしたが、もう手遅れだった」と残念そうに話す。樹齢は70年はあったという。ここにはお屋敷があって、その庭に植えられた桜だったそうだ。
付近に植えたという2代目の桜はまだ幼木だし、周りの生命力旺盛な他の木々に負けそうな感じだった。
役場の方は、これから2代目の保護を考えていきたい、とおっしゃっておられた。
大堂の桜は残念だったが、今日は偶然に偶然が重なって百年木に出会うことができた。
先週同様、今日も桜に呼ばれたのかも知れない。
お花見しながらこんなにおいしいポーク卵が食べられるとは...。 背景は百年木。 (↑45KB) |