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1. 立山自然保護センターで教えてもらった、タカネザクラらしき木。 白いものが桜の花にも見えなくはないが、私の立つ場所からは遠すぎて確認できない。 2001.7.15--富山県立山町 立山室堂 みくりが池(66K) |
立山自然保護センターで桜の場所を尋ねると、みくりが池のほとりにあるという。はやる気持ちを抑えながら教えられた場所へ。なるほど、周囲とはちょっと違った木が生えていて、白くて花にも見えるものがぽつぽつとついている。
桜か? 本当に桜なのか?
確かに枝は灰色で鈍い光沢もあり、葉も桜に見えなくはない。
しかし、私の立つ遊歩道から木までの距離は10m以上もあり、カメラに400mm望遠レンズを取り付けて覗いても、それがはっきり桜であるとは確認できない。
遊歩道から自然林に入り、木の近くに行けば確認もできるかも知れないが、遊歩道以外は立ち入り禁止になっている。遊歩道に近い自然林は観光客が踏み荒している場所も多く、草木がなくなって裸同然になってしまったところもある。
私は、立ち入り禁止の場所に入ってまで桜であることを確かめたいとは思わない。
それに、高山部の桜も終わりつつある。今日無理して桜を見ても、来週続けられるとは限らない。現に、今週開花している桜の事前情報だって一切なかったのだ。信州でも北海道でも、もう桜の花は山を咲きあがり、森林限界ぎりぎりまで達してしまっていたり、全山の桜が終わってしまったりしているのだ。
1時間近く遊歩道で迷った挙げ句、結論を出した。
これで今シーズンの桜旅を終わりにしよう。
先週まで42週も続けて桜を見ることができた。それで十分だ。
結論を出したら、ちょっと全身の力が抜けた。もう週末に必死になって桜の情報を追いつづけなくてもいいし、せっかく仕事の疲れを癒せる土日に、朝早くから出かけなくてもいい。
だが、一抹の寂しさもある。もう今シーズンの桜には会いに行かないのだ。
様々な思いにひたっている私の回りで、時間は容赦なく過ぎ去っていく。もうすぐ室堂を出発する予定時間だ。少し後ろ髪を引かれつつ、トロリーバスの乗客の列に並ぶ。改札口を通った途端、寂しい中にも思いは吹っ切れた。
さようなら、今年の桜たちよ。
またいつか会いましょう。
傷心をいやしてくれる。(↑41KB) |