昨日は父の誕生日だった。お祝いを言うため久しぶりに実家に電話した。話が旅に及び先週は蓼科登山で苦労したという話をしたところ、父も中学生の時に登ったことがあるということが分かった。父もやはりガレ場登りが辛かったそうだ。蓼科山頂のような開発の手のおよばない場所は50年以上経っても変わるはずもなく、父が記憶していた頂上の小さな社の姿は私が先週見たものとそっくり同じだった。まるで一緒に登ったかのように蓼科の苦労を懐かしみあった。
で、そんな父が温かく見守っている...、いや、本当はあきれ返っていて「そんなエネルギーがあるなら嫁さんを探せ」と言われ続けている桜旅は、どうやら今週も継続できそうだ。
今週も東日本の各所に電話で問い合わせたが、近場では乗鞍岳の情報がもっとも確からしかった。
松本駅からレンタカーで乗鞍岳へ。立派な安房トンネルができて松本と高山が通年行き来できるようになったとは言え、そこに至る国道158号は相変わらず狭くて坂やカーブが多く、トンネルも狭い。トンネル内ではバス同士がすれ違うことができず、バスの後ろについていた私は排気ガス渦巻くトンネル内でしばらく待たされたりもした。
国道から分かれて乗鞍エコーラインを車で登る。この道もカーブが多く狭い。開花情報の入った位ヶ原(標高約2300m)のあたりをゆっくり走ったが、車窓からは桜を確認できない。後続車にせかされて走り続けているうちにいつの間にか終点畳平着。ここは標高約2700mあり、木としてはハイマツだけしか生えておらず、桜の生息できる限界線は越えてしまっているようだ。雪渓もたくさん残っている。仕方がないので今来た道をできるだけゆっくり下る。
再び位ヶ原直上。相変わらず桜が見えず、情報元に再確認しようにも電波状態が悪く携帯電話が使えない。もう今週こそだめかと思っていたら...。
あった! 桜だ。位ヶ原小屋手前約200mのところでかなり散りかけのタカネザクラ(ミネザクラ)を見つけた。車を停めて更に探すと、周辺に計5本もの桜があった。
私が最初に見た散りかけの1本は、枝張りの直径が5mはあろうかという大桜だった。根のあたりは枝が込み合っていて見通すことができないのだが、根元に近い幹の直径は20cmはあろうかと思われる。厳しい環境に耐えるため、枝は地を這うように四方に伸びている。樹高としては1mもない。散りかけている花は、直径1.5cm程度のやや小さ目のものだ。
他の4本のうち1本は、大きめの花を付けるものだった。直径が3cm近くもあり、ふっくらくっきりと咲いている。私の好きな咲き方だ。
どの花の茎や子房(実になる部分)の横にも毛は生えておらず、タカネザクラの寒冷地タイプであるチシマザクラの形質は見られない。
実は今週は10ヶ所以上に電話をして桜を探した。これまでは「今開花している」という情報が辛うじて入っていたのだが、今週は乗鞍を含めて「開花していた」という過去の情報がほとんどになってきた。来週咲いている桜を探すのは更に厳しいものになりそうだ。
来週こそは、旅の終わりを覚悟しておかないといけないかも知れない。
そばはかなり細打ちだった。(↑41KB) |