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1. タカネザクラのアップ。花はあまり開ききらず、 ややつりがね状になっている。 2001.7.1--長野県 蓼科山(38K) |
2. 桜のある山岳風景。北横岳方面を望む。 2001.7.1--長野県 蓼科山(57K) |
私は山登りがあまり好きではない。もともと体力がないし、最近運動不足気味のため疲れることが目に見えているからだ。また、自分の体力を使ってせっかく数百m登ってもいずれは降りなくてはならない。これもなんだか悔しい。
そんなわけでこの旅でも登山を避けてきたのだが、7月に入ると行きやすい場所の桜はほとんど終わっており開花情報が入らない。
長野県の蓼科山頂付近で開花しているという情報が、今週唯一確からしいものだった。蓼科山は最も短いコースでも片道2時間かかる。
しかたがない。山登りに挑戦するしかない。そこに桜があるのだから。
佐久平駅まで長野行新幹線、更にレンタカーで蓼科山7合目登山口に到達。
簡単な準備運動の後、こわごわ登山道に足を踏み入れる。
登山道は9割がガレ場(石や岩がごろごろしている)であり、常に足元を見ていないと危険なので周囲の景色を楽しむことができず、とても残念だ。
山好きな友人が事前にコツを教えてくれた。上り坂になったら歩幅を狭くしてのんびり歩く、最低でも30分歩きつづけて5分休む、水を飲む時はコップ半分ぐらいにして、甘い飲み物は喉が渇くので避ける、等々。
これらを守って、登山地図よりちょっと短い所要時間(110分)でなんとか山頂に到着。登山口が標高約1900m、山頂が2530mだから標高差は約630m。最後のガレ場は軍手をして腕を使いながら登らなくてはならなかった。へとへとでふらふらである。
山頂の山小屋の方に桜のありかを聞く。なんと、私が登ってきたガレ場の途中に数本咲いているというではないか。急なガレ場登りに集中するあまり、私は道沿いの桜に気付かなかったらしい。
小屋のすぐ近くの桜はほとんど散ってしまっていた。一方、2,3分降りたところにある3本の桜のうち、2本は落花しつつも半分ほど花を残しており、1本はほぼ満開という状態だった。
疲れと桜に会えた感動で、しばらく桜の前でへたり込んでしまう。
小屋の方によれば、ここにあるのはタカネザクラ(ミネザクラ)だということだ。樹高はせいぜい5,60cm。強風と雪にさいなまれてあまり大きくは成長できないらしく、枝は横に広がっている。
花は直径2cm程度で、小さくて可愛い。短い花期の恵みである蜜を求めて蜂や蝶が忙しく飛び回っている。花と同時に葉が出ていて、色は緑か、ちょっと褐色がかっている。
山登りの疲れのせいで、カメラの操作もいつもよりのろのろになる。結局1時間ほど桜の前から離れられなかった。名古屋から来たという団体客が、私がいる間に登ってきて、また慌ただしく下山していった。
15:30に山頂を出発し同じ道を戻る。頂上から10分ほど下った厳しいガレ場で更に4本の桜を発見した。やはりここも登りの時には気付かなかった。残念ながらこの辺りの桜はかなり花を落としてしまっていた。
人間の目に触れる範囲に8本もあるということは、この付近にはもっとたくさんの桜が存在するに違いない。しかし、どうしてよりにもよってガレ場で生きているのだろうか。不思議である。
山での事故は下山の時ほど多いという。足元が極めて悪いので慎重にゆっくりと下る。そんな私を2倍のスピードでさっさと追い抜いていく2人の若者がいた。彼らはクロスカントリーよろしく急なガレ場を走って降りていく。彼らはほとんど荷物の載っていない木枠を背負っていたので、山小屋に荷物を上げる人たちかも知れない。きっと彼らにとっては通いなれた道なのだろう。
下りも110分かかった。登山ガイドブックのデータよりも10分長い。疲れと慎重さのために時間がかかったのだと思う。
私にとって数年ぶりの登山だった(このくらいで「登山」と呼ばないように、というつっこみを受けそうだが)。もう当分、登山は遠慮したい気持ちだ。
毎週桜旅は41週を数えた。自分の誕生月である7月の桜を見ることができてちょっと幸せだった。
今週も桜発見に相当の苦労をした。週を追う毎にその苦労は増している。来週こそは桜を見つけることができないかも知れない。覚悟しておかないといけない。
登山でほてった体を冷たいそばが癒す。(↑37KB) |