静岡県三ヶ日町の大福寺で、半年桜と呼ばれる桜が開花したと聞いて出かけてみることにした。
大福寺は、東名ハイウェイバスの東名三ヶ日バス停から近いらしい。でも、夜行便と違って事前に予約ができないし、渋滞も気になるため、私はまだ昼の高速バスに乗ったことがない。
バスはもちろん新幹線よりも遅いが、大福寺が新幹線の停車駅である掛川・浜松・豊橋のいずれからもやや離れているため、東京から大福寺までの所要時間はバスと新幹線利用ではそれほど変わらない。しかも料金はバスのほうが半額以下と安い。それで、今回は思い切って高速バスに乗ってみることにした。
発車20分前に東京駅の高速バス乗り場に着いた。「もし満員だったら切符は払い戻しになります」という窓口氏の言葉にちょっと安心し、東名三ヶ日までの切符を自動販売機で購入。だが、実際にバスに乗車したのは20人弱ほどで、座席は半分以上空いている。これなら快適な旅ができそうだ。
8時ちょうど、バスは定刻に出発。日比谷公園の横を通るとき、ジュウガツザクラがぽつぽつ咲いているのが見えた。こちらもちょっと気になるが、後日機会があれば訪ねてみたい。
バスは霞ヶ関ランプから首都高速に乗り、用賀から東名高速に入る。道沿いに設置されている表示板には渋滞の文字はなく、バスは順調に西を目指す。
バスで退屈するといけないと思い、昨日携帯型のMDプレイヤーを買っておいた。早速ポップスを聞いていたのだが、いつの間にか寝てしまっていたので、あんまり役には立たなかった。
結局、バスは一度も渋滞に遭うことなく順調に走った。乗客の乗り降りに手間取ってバス停ごとに少しずつ遅れが重なり、東名三ヶ日バス停に着いた時(12:30頃)には10分ほど遅れていた。
バス停から徒歩15分ほどで大福寺着。三ヶ日町は三ヶ日みかんの産地ということで、お寺までの道沿いにはみかん畑が広がっていた。
大福寺は、約1,100年前に鳳来山に作られ、1203年にこの地に移設された真言宗の古寺だ。本尊は薬師瑠璃光如来で、大福寺の山名は「瑠璃山」と言う。
先々代の住職が、山門から本堂の間を桜並木にするため桜の苗を仕入れたとき、なぜか冬に咲く桜の苗が混じっていたのだそうだ。(そう言えば、群馬県の桜山公園でも、ソメイヨシノの苗を買ったはずなのにフユザクラが4割も混じっていたそうだ。似たような話があるものだ。)
例年9月から3月までぽつぽつと花を付けることから、その住職が半年桜と名づけたという。この桜の種類はまだ分かっていないらしい。
参道の一部を舗装するときに桜をいくらか切ってしまったそうだが、それでも現在半年桜は30本ほど残っているという。
本堂の正面に、根元から枝分かれしたいい形の半年桜があった。咲き具合は、春の桜に例えれば4分咲きといったところか。すべての花芽が同時に開くことはなく、春までの間にぽつぽつと咲くのだそうだ。
花は一重でやや大振りだ。花の形はフユザクラに近いような気がする。でも、根元から分かれたフユザクラは私は今までに見たことがない。
雲が多くて光線状態が悪く、あまりいい写真が撮れなかったが、夕方近くなって多少陽が差すようになり、改めて何枚かの写真を撮り直した。
大福寺で桜と古い庭園を堪能し、東名三ヶ日バス停から帰りのバスに乗ったのは16時近く。行きと違って帰りのバスはすでに7割方席が埋まっていて、しかもバス停に着くたびに乗客が増える。とうとう静岡インターの手前では補助椅子がすべて埋まってしまった。満員になったせいか、空気がちょっとよどんでしまっている。
行きは快適だったが、帰りはそうでもない。日曜の夕方の上り便はやはり混雑を覚悟したほうがよさそうだ。
帰路もバス停に着くたびに少しずつ遅れ、大和バス停近くで多少渋滞したこともあって、25分ほど遅れて終点東京駅に着いた。
隣の席のおじさんが普通よりもちょっと幅をとる人だったので、私は5時間近く窮屈な思いをしなくてはならなかった。
今日の自家用車での走行距離:0Km。
今日の宿:自宅