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1. 瑞泉寺のフユザクラ。枝先にぽつぽつと花が付いている。 1999.10.10--神奈川県鎌倉市 瑞泉寺(82K) |
2. 瑞泉寺のフユザクラ。 1999.10.10--神奈川県鎌倉市 瑞泉寺(37K) |
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3. 報国寺のジュウガツザクラ。下の枝には、かなり多くの花が付いている。 1999.10.10--神奈川県鎌倉市 報国寺(81K) |
今日は鎌倉市でフユザクラとジュウガツザクラを見る。春に鎌倉に来たのは4月10日だったから、ちょうど半年後の訪問となる。秋の桜は美しく咲いているだろうか。
横須賀線鎌倉駅を出てバス乗り場をうろうろしていると、幸運にも瑞泉寺の手前の大塔宮行きバスが2分後に出るところだった。急いでバスに乗り込む。
バスには中高年や初老の方がたくさん乗っておられた。私と同年代の人は誰もいない。
バスは鎌倉と横浜市金沢を結ぶ金沢街道をしばらく走るが、反対側の、鎌倉市内方面の車線は全区間渋滞していた。金沢街道は横浜横須賀道路の朝比奈インターチェンジに繋がっているから、横横道路で朝比奈まで来て鎌倉や江ノ島方面に向かう車でいっぱいになってしまっているのだろう。私が帰りに鎌倉駅方面に向かう時には渋滞は解消されているだろうか。
大塔宮でバスを降りて、瑞泉寺に向かう狭い坂道を登る。どこからともなくキンモクセイのいい香りが漂ってきて鼻をくすぐる。
大塔宮は後醍醐天皇の皇子の一人護良親王の別名で、皇子は建武の新政の後足利尊氏との対立を深め、尊氏の弟直義の手によって殺された。「おおとうのみや」と読むのだと思っていたが、バスの案内テープは「だいとうのみや」と言っていた。
瑞泉寺は花の寺として知られている。春の梅から始まって、桜、藤、紫陽花、桔梗、萩、紅葉、水仙などが季節を刻む。
ここのフユザクラは、水戸黄門(光圀)の手によって植えられたと伝えられており、樹齢は約300年と言われている。ただ、残念なことに、太い幹は腐ったために切り倒されてしまった。今残っているのは、根元から枝別れしたひこばえだ。ひこばえとは言っても、太さはすでに10cm近くあるから、きっと古い枝なのだろう。
花はかなり白に近いピンク色で、花弁は5枚。ところどころにおしべが変化して花びらになっているものもあるが、桜にはよく見られる現象らしい。
花はあちこちにぽつぽつと付いている程度で、春の桜が満開になった様子とはちょっと違う。だいたいどのフユザクラもこのような咲き方をするらしい。
以前群馬県の桜山公園で見たフユザクラも、確かに春の桜ほどの花付きではなかった。
このフユザクラは9月半ばから4月初旬まで、少しずつ花を付けるそうなので、これから瑞泉寺に行かれる方は桜のことを気に留めておかれるといいかも知れない。
続いて、運動会でにぎやかな鎌倉第二小学校の横を通り、徒歩20分で竹の庭で有名な報国寺へ。
報国寺の桜は本堂の手前にあり、観光客は必ずそこを通るからいやでも目に付く。春の桜に例えれば、5分咲きといった感じだろうか。
この花が桜だと気付かない人もいれば、桜と分かっても狂い咲きだと思い込む人や、これが秋に咲く桜と知っていて同行者に解説している方もいる。観光客の反応は様々で面白い。秋の桜は絶好の被写体になり、桜の前で記念写真を撮る人の姿はしばらく途絶えることがなかった。
ジュウガツザクラはフユザクラと違い八重だ。花の色はやはり白に近いピンク色。お寺の方によれば、10月いっぱいは花を付けているそうだ。この木は春には咲かないという。
ジュウガツザクラの後ろに、桜の大木が3本ある。これはソメイヨシノだということだった。きっと春には境内が華やかに彩られるのだろう。
桜の撮影で時間を使いすぎたので、今日は竹の庭には入らず、お寺を後にする。
昼食を終えたのは午後2時近く。渋滞が解消していて便があればバスで鎌倉駅を目指すつもりだったが、相変わらず駅方面に向かう金沢街道は車でびっしり埋め尽くされていて、車はほとんど動かない。仕方がないので渋滞している車の横をすり抜けるように歩き、20分ほどで鎌倉八幡宮前へ。
念のために八幡宮前のバス停の時刻を見ると、タイミング良くあと2,3分で北鎌倉方面に向かうバスが来るらしい。鎌倉駅まで一旦戻るよりも効率がいいので、素直にバスを待った。幕府を守る地理的な難所の一つだったはずの巨福呂坂を軽く越え、バスは北鎌倉の町に入った。明月院前バス停で下車。
東慶寺は江戸時代に縁切り寺であった。女性から離婚できなかった当時でも、この寺に駆け込めば妻のほうから夫と離縁できたという。
今では、東慶寺は瑞泉寺と並ぶ花の寺として知られている。
ジュウガツザクラは、山門の後ろと、講堂の向こう側の2ヶ所にあった。だが、花つきはあまり良くない。講堂の桜の花は、報国寺のジュウガツザクラよりも色が濃いようだった。
円覚寺塔頭の松嶺院のジュウガツザクラは、庭の2ヶ所にあった。こちらもあまり花は多くない。背の低いほうの木に咲く花は小さくてかわいい。花の大きさが身長に比例しているようだ。
撮影中、やぶ蚊に何ヶ所も刺されてしまった。暑くてTシャツ一枚になっていたので、腕が犠牲になってしまった。
「秋の休日に」「桜の花の写真を撮りにきて」「やぶ蚊に刺された」と書くと、まるで言葉遊びで適当に作った文章みたいで、季節感がバラバラでおもしろい。
松嶺院を出た後、今日最後のお寺を目指して鎌倉街道を大船方面に向かって歩く。鎌倉街道も鎌倉駅方面に向かう車が渋滞してしまっている。朝からずっとこうなのだろうか。
ちょっと行き過ぎて戻ったりもしたが、25分ほどで目的地の成福寺に着いた。
ジュウガツザクラは本堂の左手にあった。今日見た中では報国寺に次いで花付きがいい。花は夕陽を浴びて少しオレンジ色に見える。八重咲きの大ぶりな花だった。
お寺のそばの道を通る近所の家族連れやおじさんたちが、秋に咲く桜を珍しそうに眺めていた。
今日見た中では、報国寺の桜の花付きが一番良かったようだ。
春の桜ほど華やかではないから、正直言って私のように桜を見る目的でお寺めぐりをすることはあまりお勧めしないが、秋に咲く珍しい桜のことも知っていると、この季節の楽しみが少し増えていいと思う。
今日の車での走行距離:0Km。
今日の宿:自宅