2009年5月9日(土) 晴れ時々薄曇 山梨県甲州市 笠取山、金鶏寺 |
今日は、桜博士のKさん、友人のプロ写真家Tさんと一緒に、多摩川源流域の笠取山に登る。
笠取山の南東部は多摩川の源流域に当たるが、自治体としては東京都ではなく、山梨県甲州市(旧塩山市)に含まれる。都道府県境が河川流域と一致しないのは、近くに黒川金山跡があったことが関係するのではないかと思う。この金山は江戸初期に閉鎖されたが、それまでは甲斐武田氏の重要な資金源だった。
現在の自治体は山梨県だが、笠取山の多摩川流域の管理は東京都水道局が行っているのは興味深い。
6時に東京で集合、中央高速経由で登山口の1つである作場平着(標高1312m)が9時、9時20分に登山開始。桜の観察や撮影のために一時停止を繰り返しながら、一ノ瀬川に最も近いミズナラ林の急坂を登る。
咲いているのはオオヤマザクラやカスミザクラ。標高が上がるとタカネザクラが咲き始める。遅咲きのミヤマザクラはまだ花が見えない。
コースタイムよりも遅れて、午前11時頃笠取小屋着(1775m)。個人所有の小屋とのことで、管理人さんに挨拶してから昼食休憩に入る。
小屋周囲のタカネザクラはまだ咲き始めという状態だった。管理人さんによれば、例年なら大型連休の後半、5月5日頃には見ごろなのだそうだが、今年はその頃に寒い日が続いたため開花が遅れているという。
小屋の裏にはタカネザクラの小さな群落があり、真ん中を登山道が通っていて桜並木のようになっている。これが咲いていたらさぞかしすばらしいだろう。
小屋では人懐こい犬に出会った。山麓の一ノ瀬高橋集落の住人の飼い犬だという。私たちが歩く前を先導するかのように歩いていく。管理人さんによれば、この犬はよく山に登ってくるのだそうだ。山梨伝統の甲斐犬(かいけん)という。黒っぽいので、私はクロと呼ぶことにした。
正午前、笠取小屋を出発。笠取山山頂を目指さず、山頂下の水干(みずひ、1865m)へ。多摩川源流と言われる場所で、多摩川の最初の1滴が見られるという。確かに岩を伝って水がぽつ、ぽつと落ちてくる。
13時前に水干を出発。黒エンジュ尾根の下り道は比較的ゆるやかだ。気温は20度ほどでさわやか、木漏れ日も気持ちいい。急な登りで疲れた後だからなおさらだ。
クロは道沿いの笹やぶに入り込んでどこかに行ってしまったのかと思えば、道の先のほうから全速力で走ってきたりする。他の登山者に付いて行きもしたが、どうも犬嫌いの人だったようでクロはしばらくして戻ってきた。
15時前に、もう1つの登山口である中島川口に到着。クロも付かず離れず下りてきた。でも、作場平口に停めていた車に乗ったら、クロは立ち止まって寂しそうに私たちのことを眺めるだけだった。さよなら、クロ。
今年は残念ながら花期に合わなかった。また来年以降に期待したい。
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