2006年7月5日(水) 晴れ時々霧 北海道清里町 斜里岳 |
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1. 千島桜。 今日見つけた中で一番咲いている木。 2006.7.5-北海道清里町 斜里岳 胸突八丁(59K) |
2. 別の角度から。 2006.7.5-北海道清里町 斜里岳 胸突八丁(72K) |
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3. 花がやや大きめの千島桜。 2006.7.5-北海道清里町 斜里岳 胸突八丁(58K) |
4. 花びらがやや細い千島桜。 2006.7.5-北海道清里町 斜里岳 熊見峠手前(53K) |
登山は嫌いだ(これまで十数回も書いている)。でも、桜が咲いているなら仕方なく登るしかない。
斜里岳の桜がそろそろ見頃のはずだ。
7月の桜が見られるかも知れない。
これまで58ヶ月連続で桜を見ているから、今月もどうしても達成しないといけないのだ。
実は3日前から体調を崩している。どうも、たまっていた3ヵ月半の旅の疲れがどっと出てきたらしい。ろくに食事もできず、車の中で寝てばかりだ。こんな時に登山などしたくはないのだが、明日から3日間天気が崩れるという予報が出ているので、是非今日中に登っておきたい。
午前8時45分、登山道に入る。
98年に火災に遭い、プレハブ小屋で営業していた登山小屋清岳荘は手前の場所に新築されていた。その代わり、登山ルートが10分ほど延びてしまったのはちと残念。
下二股までの間に渡河が何度か必要だ。今年は雪が多いため増水していて、渡河が例年よりも難しい。転んで装備を濡らす事故を避けるため、いたしかたなく水の中をじゃぶじゃぶ歩く。塗れて靴が重くなるし、靴下が気持ち悪くなるけれど、いたしかたない。
コースタイム通り約50分で下二股着。だけど、ここから先の厳しい斜面登りで予想通り時間を食う。重さ約17Kgの荷物が肩を締め付ける。斜里岳は単独峰なので日帰り登山が主流だから、キャンプ道具などの重装備を持って登る人はかなり少ないのだ。中にはペットボトル1本だけポケットに入れて軽々と登っていく人もいる。
今日は途中で3組に抜かれた。もしこれが登山遠足だったら、「先生ー、中ちゃんが列から遅れてますー」とか言われて、隊列の最後尾を保健の先生と一緒にゆるゆる進むという感じだろう。まぁ、実際は今日は(今日も)一人ぼっちの登山なわけだが。
鎖を頼りに登る鎖場もある。また、上から垂らされたロープを頼りに登る場所もある。ロープに手をかけた途端、上からずるずるっとロープが落ちてきてびっくりする。どうも、この冬の雪でロープをかけてあった枝が折れて外れたらしい。これまで3回の斜里岳登山では見たことのない場所に雪渓が残っていたりしてちょっとおびえたりもする。
上二股の手前で桜発見。おお、咲いているぞ。7月の桜に会えたぞ。でも、残念なことに半分くらい散ってしまっている。この先にもっといい桜があると信じて重い足どりを更に進める。
胸突八丁はその名の通り、胸に迫ってくるような急な斜面をふうふう言いながら登る場所だ。足元が岩だらけなので注意も必要。
その胸突八丁で更に桜発見。こちらも散り始めだけれど、花はまだたくさん残っている。背景に南斜里岳があるはずだが霧でほとんど見えない。
よし、ここでお昼ごはんを食べよう。
日本で一番、困難でばかばかしい(笑)お花見昼食かも知れない。
ここにあるのは千島桜。雪、風、低温という厳しい環境に耐えるため、あまり高い木にはならず、地を這うように枝を伸ばす。
花はほとんどが5弁。花色はかなり白に近いが、中にはややピンク色がかったものもある。花の大きさにも大小がある。最近知ったことだが、千島桜は野生の桜の中でも変化が大きいそうだ。
ここで見られるのは、色が白に近く、ふつうの大きさのものと、少し大きめのものだ。
2本の桜を撮影して、更に上を目指す。
途中、まだ咲いていない桜が目立ち始める。やはり標高のある場所のほうが遅いということだ。
午後2時、9合目の上に到着。ここから先は森林限界を超え桜はないはずなので、ここで折り返すことにする。
いつもこんな感じで折り返すので、斜里岳の山頂にはまだ行ったことがない。
登山ガイドブックによると、ここまでの標準的な所要時間は約3時間だ。私は5時間もかかってしまっている。あぁ。
帰りは、一部の区間が登りとは別ルートになる。そこでも散りかけの桜の花をいくつも見つけた。もう数日早ければ見頃に出会えたということだろうか。登山するタイミングはとても難しい。
午後6時半、日没30分前になってやっと下山。所要時間は10時間弱。ああ、辛かった。
今日は、転倒0回、雪渓の滑落1回(2mぐらいで止まってよかった)、雪渓の踏み抜き1回、木の枝に頭をぶつけたこと8回(かなり脳みそが減ったことだろう)。幸いにも川で転んで装備を濡らすようなことはなかった。
今日は7月の桜を見ることができた。やはり登ってよかった!
でも、もともと体調が悪かったので辛さが増したし、雪解けで増水していて渡河に時間がかかったし、雪渓渡りはあったし、使わないカメラなども混じっていたので装備は重すぎたし、暑くて疲れが増したしで、今回の条件はかなり悪かったと言える。
参考までに私が見つけた桜の本数をまとめると次のようになる。一昨年までのデータに今年の発見を加えた。興味のある方は登山地図と対照していただくとよいと思う。(カッコ内は標高)
〜 | 下二股(810m) | 5本 | ||
下二股小屋(?)跡 | 1本 | 2年前にかなり切られたけれど、 今年は元気に花をつけたようだ。散り終わりだった | ||
下二股(810m) | 〜(旧道)〜 | 上二股(1235m) | 3本 | 1本は枯れてしまったようだ。 |
上二股(1235m) | うち2本は今回撮影 | |||
上二股(1235m) | 〜(新道)〜 | 熊見峠(1230m) | 20本 | うち1本は今回撮影 |
熊見峠(1230m) | 〜(新道)〜 | 下二股(810m) | 27本 |
さて。
7月の桜を見ることはできたけれど、まだこれから咲く桜がありそうだし、次の就職のアテはまったくないので(笑)、もうしばらく北海道にいたいと思う。
今年の桜旅のピリオドは、まだ打たないことにする。
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