2004年7月4日(日) 曇のち晴、夕方から霧 北海道清里町斜里岳 |
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1. 夏空をバックに咲くチシマザクラ。 2004.7.4-北海道清里町斜里岳(74K) |
2. チシマザクラのアップ。 ふっくらした咲き方が好きだ。 2004.7.4-北海道清里町斜里岳(57K) |
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3. 他の植物に押されながらも けなげに咲くチシマザクラ。 2004.7.4-北海道清里町斜里岳(86K) |
登山の時は毎度書いている通り、登山は嫌いである。体力は使うし、汚れるし、危ないし、そもそも桜の情報も確実かどうか分からないし。おまけにせっかく登ったのに下りてこなくてはならないのもなんだかくやしい。
だが、例えそこに桜が咲いているらしいというあいまいな情報でも、桜を見るのがもともと困難な7月の場合はプラチナより貴重である。
6:15起床。ユースホステルで朝食を終えたのち、7時前に出発。7:35にいよいよ斜里岳入山。ここまでは順調であった。
今年は雪が多いとのことで、最も標高の低い登山口−下二股間で5箇所ほどの雪渓横断が発生している。しかも川の水量が多く、例年なら靴が濡れない沢渡りも今年はそうは行かない。靴を濡らさない努力は早々にあきらめ、怪我をしないことに専念する。
途中にあった2本の桜は登山道を挟む形で立っている。どちらも花はとっくに終わり、たくさんのさくらんぼが赤熟している。これからどんどんこの山に仲間を増やしていって欲しいものだ。
下二股でショックな出来事が。大きかった桜があらかた切られてしまっていたのだ。斜面の雪に押されて登山道にはみ出してしまったのかも知れない。ただ、わずかに残った枝には葉芽や花芽がついていたので、木全体が死んでしまったのではないようだ(根元がまだ雪に覆われているため周辺のほかの桜よりもかなり遅く咲くらしい)。これからの復活に期待したい。
ここからいよいよ沢登りに入る。背中の15Kgの荷物のせいで、後ろから来る人に次々と追い越される。独立峰で日帰り登山が中心なので、他の人の荷物はかなり小さめなのだ。まぁ、追い越されても気にしない。怪我をしないようマイペースで登っていく。
気温は20度から25度の間で登山する日にしてはやや暑めだ。顔も身体も汗まみれになる。気を抜くと、めがねが汗まみれになって前が見えなくなる。
上二股手前10分ほどのところにある桜は去年撮影したが、ここも枝が切られてしまっている。桜は日光を好むから、開けた登山道に向かって枝を伸ばしすぎたのかも知れない。その近所にある桜はかろうじて花を残していたが、撮影できるほどではない。
上二股を過ぎ、いよいよ胸突八丁と呼ばれる厳しい登りに入る。ほとんどの桜は花を終え結実を始めているのだが、おお、2本だけよく咲いている桜がある。登りは場所の確認だけにとどめ、標高1480mの馬の背に至る。ここからは約30分で頂上に到達できるが、この先桜はないと聞いているので私はここで折り返して撮影に入る。
咲いている桜のうち1本はかなり勾配のきついガレ場の横にあり、無理をすると積もった石に足をとられて下へ転がり落ちてしまいそうだ。桜は他の木々に圧迫されながら、しかしけなげに花を揺らしている。
もう1本は9合目の札のすぐそば。こちらは8,9分咲きなので、私に桜の情報を教えてくださった方も木曜日にこの木を見たのだろう。夏らしい青空をバックにチシマザクラはふくよかに咲いている。まだ多少のつぼみも残っているのでこれからしばらくは夏山登山者の目を楽しませることだろう。
桜の前でおにぎりを食べた。今シーズン最後の花見弁当だ。
熊見峠からの下りは、重い荷物を背負った私にはかなり過酷だ。沢に向かって標高差400mを一気に下りないとならない。途中から下を流れる沢の音が聞こえてきて期待させるのだが、永遠に到達できないのではないかと思わせるほど時間がかかる。だが、途中何気なく手をかけた木は桜だった。しかも、枝の長さが5m以上はあろうという、チシマザクラとしてはかなり大きいものだ。この大桜が将来どんな木になるかとても楽しみだ。
下二股からの帰りは、雪渓と増水した川のせいで、標準コースタイムの倍の60分もかかってしまった。私以外の軽装の人もそれほど変わらないペースだったので私の重い荷物のせいではないようだ。
午後3時40分にやっと下山。所要8時間。今回の不名誉な記録は、しりもち2回、スリップ6回、木に頭をぶつけたこと7回(うち2回は激痛(笑))、ひざ下からの軽い出血1箇所(温泉で気づいた)、写真撮影中に荷物が転がり落ちたこと1回。
ただ、大きな怪我なく無事に帰ってこれたのは喜ばしい。足を怪我したりしたら、レンタカーが運転できず、東京に戻るのが困難になるという最悪の事態に陥ってしまう。
昨日詣でた来運神社のご利益もあったのだろう。
今年はまだ斜里岳では熊の目撃情報はないそうだ。もちろん私も出会うことはなかった。熊スプレーは羽田預かりとなってしまったが、仮に持っていたとしても活躍の場はなかった。
参考までに私が見つけた桜の本数をまとめると次のようになる。昨年のデータに今年の発見を加えた。興味のある方は登山地図と対照していただくとよいと思う。(カッコ内は標高)
清岳荘登山口(670m) | 〜 | 下二股(810m) | 2本 | |
下二股小屋(?)跡 | 1本 | ただし今年かなり切られてしまった。 | ||
下二股(810m) | 〜(旧道)〜 | 上二股(1235m) | 4本 | うち1本はかなり切られてしまった。 |
上二股(1235m) | 〜(胸突八丁)〜 | 馬の背(1480m) | 27本 | うち2本は今回撮影 |
上二股(1235m) | 〜(新道)〜 | 熊見峠(1230m) | 20本 | |
熊見峠(1230m) | 〜(新道)〜 | 下二股(810m) | 27本 |
さて、昨日も書いたとおり本州の高山部の桜はペースが早いため、来週桜を見るのはとても難しいだろう。だから、今シーズンの旅日記はこれで終わりになると思う。
今年は2〜3月の仕事が生涯最高の忙しさで桜どころではなかった。また、4,5月の計画も事前に立てられなかったため、バーゲンフェアなど2ヶ月前に手を打てば安く飛べる航空券も入手できず、かなり高額な旅をせざるを得なかったのが残念だ。
でも、以前から楽しみにしていた荘川桜に会えるなど、今年も得たものが多かった。
今年の桜たちよ、本当にありがとう。次に会うときまで、元気でいて欲しい。
背景はチシマザクラ。 下は夕食のもりそば。 ぶっとい麺が特徴。 (↑68KB) |