河津の早咲きの桜が見ごろを迎えたという。河津桜が好きな私としては黙っていられない。
河津の桜の見ごろは、例年おおむね2月の後半である。でも、中には数本、早く咲きはじめるものがある。
空席が目立つJRスーパービュー踊り子号を河津駅で降りる。3連休最終日の下り列車だから、空いていて当然だろう。
車窓から見ていると、相模湾は雲に覆われていて陽が差さなかった。でも、河津に着くころにはほぼ快晴。晴れているうちにと思い急いで田中共同浴場前の桜のもとへ。徒歩15分ほどかかって、日が差し続けているうちになんとか到着。しかし、カメラの準備をしているうちに南から流れてきた雲で日光はさえぎられてしまった。運が悪いが、よくあることである。
河津桜は、早咲きのオオシマザクラとカンヒザクラの自然交配種と言われる。花色が濃く、花が大ぶりで見栄えがするのが特徴だ。町民の一人が見つけた桜が接ぎ木などで増やされ、今では約7000本が河津町内に植えられている。その原木は、共同浴場のすぐ近くにある。
たまたま浴場前に桜を植えた方にお会いし、お話を伺うことができた。浴場前の桜は原木の実生であるという。原木の所有者の方が小さな苗畑を作っていて、そこで2,3年育てていたものを譲ってもらい、平成9年に今の場所に植えたそうだ。幼木のため、去年までは花より葉が目立っていたそうだ。今年になって初めて、見事に咲くようになったという。今日はたまたま成人式だが、「あの花も今年成人したのかな」とは植えた方の弁である。
原木の実生であるから、誰とは知れぬ別の桜との交配が起きたことになる(桜は自分の花粉では受粉しない)。おそらく、他の河津桜よりも早く咲く性質はこの交配で獲得したものなのだろう。
花をよく見ると、大きさと色は他の河津桜とあまり違わないような感じだ。
咲き具合は、つぼみも残っているし、すでに散ってしまった花もある。全体的に見ると、6,7分といった感じだろうか。葉が盛大に出ている枝もある。
成人したこの木が、この後どんな風に素敵なレディになっていくのか、楽しみに見ていたい。
次に、近くにある正月桜のもとへ。
その名の通り、正月から咲いていることで知られる桜だ。先ほどの方によればこちらも原木の実生であるという。
こちらは一般に言われる河津桜とは少し違った印象だった。花はやや小さめで、木もあまり横に広がらず、上に伸びる性質のようだ。これも実生として別の桜から獲得した性質なのだろう。こちらは4分咲き程度であり、これから見ごろを迎えるようだ。
帰りに立ち寄った河津桜の原木をなんとなく眺めていて、たった2輪だけ開花した花を見つけた。いよいよ到来する華やかな河津桜シーズンの前触れだと思うと、なんだか胸が高鳴ってくる。
帰りのスーパービュー踊り子号(SVO)は座席が半分ほど埋まる混雑。やはり観光シーズンではないから、連休最終日の上り列車でもこんなものかもしれない。私が乗った10号車の展望席は、私以外はすべて若いカップルという、にぎやかながらなんとなく私だけ寂しくなる乗客構成だった。
今日は往復とも旧塗装のSVOだった。行き違う新塗装のSVOを見て、「新しいのはいいなぁ」と思っていたのだが、私が乗っているこの旧塗装(ブルー+グレー)は今日限りでなくなり、塗装変えされてしまうのだそうだ。偶然さよなら乗車ということになった。ビューレディー(女性乗務員)が張り切って旧塗装の記念グッズを売りにきたので、友達の分も含めて3つも買ってしまった。
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