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1. 一瞬差し込んだ陽光に輝くカンヒザクラ。 2004.1.24--沖縄県本部町八重岳(64K) |
2. 切り取られてしまった百年木。 下中央の黒っぽい部分は切り株。 その周りから何本もの彦ばえが出ている。 右後ろには、台風で倒れた幹の1本に わずかに花がついている。 2004.1.24--沖縄県大宜味村(79K) |
今週末は、JALとANAに特別に安く乗れる(JALはバーゲンフェア、ANAは超割)。チケットの予約受付は2ヶ月前であり、桜の開花予想は当然出ていない。一応、これまでの経験をもとに羽田−那覇往復のチケットを取っておいたが、さて沖縄の桜の咲き具合はどうだろうか。
別の飛行機で到着していた友人と那覇空港で落ち合う。レンタカーに同乗し、まずは沖縄北部の八重岳を目指す。沖縄で最も早くカンヒザクラが咲く場所である。
今年は暖冬のため、残念ながら開花が遅れているという。
日本の多くの桜は、開花の前に休眠を必要としている。ある一定期間、低温にさらされることによって開花の準備が整うのだ。しかし、南国では暖冬になると低温の期間が足りず、例年よりも開花が遅れることがある。
沖縄だけでなく、本州のソメイヨシノも暖冬の影響を受けて遅れることがある。数年に1度、熊本や鹿児島のソメイヨシノの開花が遅れ、それより北の場所のほうが開花が早くなることもある。
また、低温を長く感じた桜ほど早く咲くことになるから、ここ八重岳では寒さが十分な本州とは逆で、山の上のほうから咲き始めるのだ。
八重岳山ろくから車を登山道に進め、山頂を目指す。登山道の両側は桜並木になっている。歩行者も歩いているし、ところどころ道が細くなっているので、車同士のすれ違いには気を使う。山頂に近づくにつれ、花の咲き具合が良くなってくる。山頂付近には満開になった木も数本ある。山ろくで平均3,4分、山頂付近で6,7分といった感じだろうか。
20分ほどで山頂だ。風がかなり強く、車の外で風景を眺めるのは辛い。東京から持ってきたコートを着ていてもあまり役立たない(この日の名護の最高気温は12度)。この寒さが私たちが来る数日前から始まっていたら、桜の休眠期間が長くなって今日の開花がより進んでいたかも知れないと思うと少し残念だ。
ここにあるのはカンヒザクラ(寒緋桜)。原産地は台湾とも言われる。本州でよく見かけるソメイヨシノよりもピンクが濃い。また、下向きに咲く花や、開ききらず釣鐘型になっている花もある。花の色も、薄いものや濃いものがあり様々だ。自生種なので花に個性がある。
山の中腹まで下り、那覇から同道している友人とカメラを構える。曇り空から太陽が顔をのぞかせるタイミングを狙ってシャッターを切るが、チャンスは一瞬だけだった。
宿の夕食まで時間があるので、友人に見せてあげようと思い百年木を目指す。おととし知った立派なカンヒザクラだ。車で約1時間、更に徒歩15分ほどで百年木に到着。
ところが、木を見て驚いた。太い幹が切り倒されているのだ。
おととしの台風では奥の細い幹が裂けて倒れてしまった。今年は手前の太い幹が切り株を残して切られてしまっているのだ。幹の周りからは、命を永らえようと彦ばえが何十本も上を目指していた。高さ十数mの雄姿を誇った百歳の木は、その大部分を失ってしまったのだ。
おととし倒れた細い幹の先には、辛うじて花がついている。ただ、根と幹とは完全につながっているわけではないので、いつ枯れてしまってもおかしくはないと思う。
(後で大宜味村役場に確認したところによると、昨年の台風のせいで、残っていた幹が割れて地面に向かってたれてしまったそうだ。樹木医にも見せたが、たとえ元の位置に戻しても復活は難しいとの診断だった。そのままでは危険なため、地主さんの要望もあって切り倒したとのことだ。)
桜の写真を撮っていて、桜との出会いは一期一会だと感じる。桜や風景の毎年の変わりように落胆することがよくある。柵ができるなど環境が悪くなったり、枝振りが変わったり、咲き具合が悪くなったりするので、来年も同じように写真が撮れるとは限らない。
風景との出会いを大切にし、毎回真剣勝負で写真を撮らなくてはならないと、改めて痛感した。
向こう側は友人の中身汁定食。 下は宿で食べたヘルシーな夕食。 (↑49KB) |