|
|
|||
1. 城沼を背景に咲く十月桜。 2003.8.30--群馬県館林市つつじが岡公園(50K) |
2. 十月桜のアップ。 2003.8.30--群馬県館林市つつじが岡公園(32K) |
先月の最後の日記は3日に書いた。
その後桜が見つからないまま1週間ほど北海道に滞在し、実家に戻った。
本州の高山部に桜が残っているという情報を耳にしながらも、貯金が底をついた私は再就職の準備をしていた。
幸いなことに8月から東京のシステム開発会社で働くことができるようになった。
再就職を機に東京に引っ越した。場所は駒込を選んだ。通勤に便利ということの他、桜旅の出発点になる東京、上野、新宿、羽田などに行きやすいこと、一生に一度は山手線の内側に住んでみたかったこと(笑)、そして、染井吉野発祥の地に近いことなどが理由だ。
駐車場代が高いのと、旅を含めても常に車を使うわけではないので、車は今回も実家の父に預けてきた。
気ままな旅暮らしとはえらく違う生活だが、新しい環境でもあり、今はそのギャップを少し楽しんでいる。
前置きはこのくらいにしよう。
今年もそろそろ桜が咲く頃だ。
桜の実は初夏に作られて、花の役目は終わる。そして、次の花芽は夏に作られる。そのため、花の立場で見た1年の区切りは夏なのだ。だから桜の花にとってはちょうど今頃が次のシーズンの始まりと言える。
桜の多くは夏に作られた花芽が休眠に入り、眠ったまま冬を越して春になって目覚める。しかし一部の桜はあまり長く休眠せずに花を開く。これが秋・冬咲きの桜である。ただ、8月に桜の花を見かけることは難しい。
昨年は貴重な8月の桜を月末に見た。今年もと思い情報のアンテナを張っていたら、群馬県館林市で十月桜が咲いたという新聞記事を見つけた。
今夏の関東地方は天候が不順だ。夏が涼しかったせいで、秋が来たと思い込んだ十月桜が早々に咲き始めたらしい。
朝1番で公園の管理事務所に電話をしたが、電話の応対をしてくださった女性は新聞に載った事はご存知だったものの、最近の咲き具合は分からないと言う。「染井吉野に比べたらかなり花が少ないので、東京からわざわざ来られるほどではないと思いますよ」と正直な感想をおっしゃる。それでも私はかまわないのだ、少しだけでも咲いていれば。
館林駅に着いたのは午後1時前。道路がわずかに濡れていたので少し前に雨が降ったらしい。うどん屋のおばさんは歩いて10分弱と言っていたけれど、約20分かかって市役所着。そこから5分ほどで、目指すつつじが岡公園第二公園に到着。
おお、確かに桜が咲いている。今シーズン初の花だ。
ここには2001年12月に51本の十月桜が植えられたという。いつもの年なら10月終わりから咲くらしい。今日は10本ほどの花ががちらちらと咲いている。そのうち城沼に近いところにある1本はかなり花を付けている。とは言っても、春の染井吉野にしたら3分咲きぐらいだ。おそらくこれで精一杯の開花だろう。
花の形は可憐な八重。ほんのり薄い上品なピンク色をしている。十月桜は花びらの幅が広いものと狭いものがあるが、ここにあるのはやや広いもののようだ。やや強めの風の中、誇らしげに咲いている。
花が少ないので必然的にアップの写真が多くなる。でも、なかなか風が止まず、待ち時間が長い。結局最後はブレ覚悟でシャッターを切る。
空も曇っていてよい感じではない。今シーズン初の桜花との出会いにしてはあまり条件に恵まれなかった。
ここは市民の散歩コースになっているらしく、特に中年や熟年の人たちがよく通りかかる。何の花か不思議そうに眺める人もいれば、これが新聞に載った桜と知って花を確かめる人もいくらかはいる。
帰りは鶴生田川沿いの遊歩道を歩いた。ここは染井吉野の桜並木になっており、太さ7,80cmはあろうかという古木もたくさんあった。きっと春はかなりすばらしい花に恵まれるに違いない。
旅暮らしには旅暮らしなりの、東京住まいには東京住まいなりの桜旅の方法がある。
東京はさすがに首都だけあって、日本全国どこにでも効率よく出かけることができる。
これからしばらくは、去年までと同じ、東京を起点とした旅を楽しみたいと思う。
(↑49KB) |