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1. 利尻富士を背景に咲く千島桜。 2003.6.10--北海道利尻町千島桜自生地(28K) |
2. 私が見た中で一番太い木。 根回りは1m弱、太い幹で40〜50cmもある。 2003.6.10--北海道利尻町千島桜自生地(40K) |
登山は嫌いである(前にも書いた)。だが、登山の先に桜があると聞いたら悩んでしまう。
利尻島の山中で、自生の千島桜が咲いていると聞き、とるものもとりあえず島に渡ってみた。
果たして私の体力は持つだろうか。そして、目印の少ない山中で桜を見つけることができるだろうか。
昨日のうちに森林事務所に許可を得てある。教えられた川の下流部に到着。駐車スペースに車を止めて歩き出す。
川原は幅数十mあって大小の石がごろごろしており、そこを幅2mくらいの水が右に左に蛇行しながら流れている。手前1Kmほどの間は工事用の道があるが、そこから先約3.5Kmの石原には道がない。川が蛇行しているため、何度となく川を渡りながら上流を目指す。
水量は上流に向かうほど多くなり、水流の幅も広くなる。沢が大小の石がごろごろするガレ場のため、下流では水が地中に浸透するためだと思う。上流ほど渡河ポイントの選択に迷い、立ち止まって悩むことも何度かあった。
ここで怖かったのは浮石だ。しっかりしていると思った石に足をかけるとごろんと動くことはしょっちゅうだ。往復で計3回転び、転倒未遂は無数だ。
川を左右に渡った回数は覚えていられないくらい。2時間40分歩いたところで、右に曲がる目印らしきものを見つけた。やった!
ここからは斜面にとりついて登ることになる。今年もすでに何人かが桜を見に来たそうなので、まずは踏み跡を探す。しかし、この暑さで溶けたのだろう、斜面の手前の雪渓で踏み跡が全く消えてしまっていたため、登り口を見つけるのに40分もうろうろしながら悩んだ。
やっとそれらしき踏み跡を見つけ、斜面を登り始める。両側には私の身長ほどの笹が茂り、見通しが全く利かない。その代わり、その笹をつかみながら登ることができるし、笹が不自然になぎ倒されていて人の跡と分かるので一長一短だ。
これまで6年間の桜旅史上最悪の斜面を悪戦苦闘しながら登ると。あった。桜だ。しかもかなり太い木もある。
ここにあるのは千島桜。笹に阻まれ周囲をしっかりと調べることはできなかったが、私が見ただけで5本はあった。しかも、そのうち2本は根回りが1m弱はありそうな巨木だ。太い枝は周囲4,50cm。この巨木には、私から謹んで「女王様」という名前を差し上げた(桜は女性だろうから)。すぐそばのちょっと小さい木は「王女様」だ。
花は7分散りぐらいで、写真栄えする花を探すのに苦労する。背景に利尻富士が見える写真をなんとか撮ったが、あまりいい出来ではない。心の中に花を残すことにする。
午後2時15分。明るいうちに安全に下山するためにはこの時間が限界だ。名残惜しい中女王様、王女様たちとお別れをして、笹をつかみながら斜面を下り始めた私だった。
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