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1. ナデン(南殿)の並木。歩いていると幸せな気分になれる。 2001.5.2--北海道松前町 松前城址(58K) |
2. 法憧寺の古木。ナデンは生命力が強いようだ。 手前側の幹は完全に枯れているのに、後ろ側はしっかりと生きている。 2001.5.2--北海道松前町 松前城址(60K) |
松前城址には、約140種類、約600本の桜が植えられている。
松前の人たちは、江戸時代から桜を集めることに熱心だったようだ。城下の商人や京から嫁入りした奥方たちが、故郷をしのんで桜を植えたり、参勤交代で江戸から持ってきたのが松前の桜の始まりと言う。
本州から遠い北国にやってきた人たちの望郷の念もあって、桜を集める風土が根づいたのではないかと思う。
光善寺には、血脈桜(ケチミャクザクラ)と呼ばれる名木がある。
今から二百数十年前、松前の鍛冶屋の娘が奈良県吉野でもらった桜の苗を光善寺に献納したという。
それから数十年後、老朽化した本堂の修理のためにその桜が切られることになった。その前夜、住職の枕元に桜模様の美しい娘が現われ、血脈が欲しいと頼み込んだ。(血脈とは、死んだ人が仏になれるようにお坊さんが与える書き付けのこと。)
翌朝、住職が桜を見上げたところ、葉の間で前夜娘に与えた血脈が風にゆれていた。住職は、娘は桜の精であったと気付き、桜の伐採をやめたという。
そんな言い伝えがあって、この桜は血脈桜と呼ばれるようになったそうだ。
明治36年に光善寺が火災で焼失した時、桜の幹も焼けたというが、現在ではそのようなことを微塵も感じさせないほど立派な幹に復活している。
血脈桜は、松前に多い、上品なピンク色の八重桜「ナデン(南殿)」の親木である。
当の光善寺は本殿が工事中で、どうやっても工事の防護ネットなどが写真に入ってしまう。でも、血脈桜の花は見事に満開で、存在感のあるピンク色の八重桜が風に揺れていた。写真ではなく自分の記憶の中に桜を残しておこう。
松前城址の天守閣や桜見本園などにもナデンが多くあり、その大半は見頃を迎えている。まるで松前城址一帯がピンク色の絵の具で塗られたみたいだ。
午後から撮影を開始して、夕方近くまで城址をうろうろした。どこで撮っても桜が映えるので嬉しい。
だけど、冷たい風がやや強く吹き付けるのにはちょっと参った。
今日の食事
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