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1. 2001.4.8--東京都小金井市 小金井公園(47K) |
2. ヤマザクラのアップ。ソメイヨシノと違って 花と同時に葉が出る。花と葉のコントラストに 風情がある。 2001.4.8--東京都小金井市 小金井公園(55K) |
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3. カンヒザクラと静態保存のSL。 2001.4.8--東京都小金井市 小金井公園(58K) |
4. 2001.4.8--東京都小金井市 小金井公園(81K) |
今では東京の桜の名所のほとんどはソメイヨシノ主体である。しかし、上野や飛鳥山など江戸時代から有名だった場所にはヤマザクラが植えられていた。明治初期にソメイヨシノが大流行するまで、桜と言えばヤマザクラを指していた。
現在でも唯一ヤマザクラが中心となっている東京の名所は小金井公園だけである。そこで、今日はヤマザクラを見るために小金井まで出かけてみることにした。
小金井公園には、約4600本の桜がある。このうち約3700本がヤマザクラで、ソメイヨシノ、サトザクラ、カンヒザクラ、シダレザクラなどもある。
小金井公園に近い玉川上水の堤防にはかつてたくさんのヤマザクラが植えられていたことがあり、小金井堤の桜として有名だった。
小金井堤の桜は、徳川吉宗の時代に吉野山と常陸の桜川から苗木を取り寄せ、小金井橋を中心に6Kmに渡って2千本あまりを植えたものだ。上水の堤防に桜が植えられたのは、桜は水の毒を消すとの故事にまつわるものと言われている。
江戸時代末期には関東第一の花の名所として有名になり、戦前まで花見の盛況が続いたが、木の老化と五日市街道の舗装工事、車の排気ガスなどのためにほとんど衰退してしまった。現在もヤマザクラがわずかに植樹されているが、環境の悪さなどにより生育は良くないという。
小金井公園は小金井堤に代わるヤマザクラの名所である。広い園内にはゆったりと桜が植えられている。木と木の間隔が他の公園よりも広くて、桜がのびのびと枝を伸ばしているように見える。背の高い大樹も多い。
ソメイヨシノは葉より花が先に開き、花が大きくて花付きもよく、かなり派手な桜だと言える。一方、ヤマザクラは濃い緑、あるいはやや赤褐色の葉を伴って花を付ける。葉と花のコントラストが美しく、風情のある桜だと思う。
ヤマザクラは野生種のため、花の色、大きさ、満開の時期に多少の違いがある。園内を歩いていると時折びっくりするくらい美しい桜が目に飛び込んでくる。でも、そうした桜の下には必ず宴会のグループがおり、なかなか写真には残しにくい。早朝にでも来ないといい写真は撮れないようだ。
桜の咲き具合は散り始め。気まぐれに吹いてくる風を受けて数十本の桜が一斉に花を散らす光景は、幻想的とさえ言える。
散りかけた桜の下で、グループで来ている若者の一人がギターを弾きながら長渕剛の曲を歌っていた。これがめっぽううまい。周囲には親子連れも多くいたが、長渕と同じ世代の親たちが、曲を知らない子供をよそに楽しそうに聞いている。曲が終わるたびに拍手が起きる。そして「巡恋歌」や「順子」がリクエストされたり、果てはボトルワインが差し入れられたりもした。
私も夕食を取りながら5曲ぐらい楽しませてもらった。
名古屋と金沢を桜のトンネルで結ぼうとして沿道に桜を植えつづけ、志半ばで亡くなった元国鉄バス車掌の佐藤良二さんは、「桜は人と人との心を結ぶ木だ」という意味の言葉を残しているという。ここ小金井公園でも、花見がきっかけとなって見知らぬ人どうしの心が少しつながっていたような気がする。
生歌を聞きながら、散りゆく桜の下で暮れていく空をのんびり眺めていた。
とても気持ちのいいお花見だった。
五色団子は、右から、ずんだ、みたらし、磯辺、つぶあん、そして桜あん。 |