1. 2000.1.29--沖縄県名護市 名護城(90K)	2. 2000.1.29--沖縄県名護市 名護城(80K)

3. 桜が咲く斜面と、名護の街 2000.1.29--沖縄県名護市 名護城(79K)

4. 2000.1.29--沖縄県本部町 八重岳(71K)	5. 2000.1.29--沖縄県本部町 八重岳(67K)
6. 2000.1.29--沖縄県今帰仁村 今帰仁城址(71K)	7. 2000.1.29--沖縄県今帰仁村 今帰仁城址(52K)

八重岳の桜の問い合わせ先
本部町役場 0980-47-2101

今帰仁城址の桜の問い合わせ先
今帰仁村役場 0980-56-2101

「毎週桜旅」も17週目になった。これまでは秋咲き・冬咲きの桜ばかりを見てきたが、ここに来てやっと春の桜に出会えた。

日本の桜の約8割を占めるソメイヨシノは、沖縄では育たない。沖縄に咲く桜はカンヒザクラ(寒緋桜)だ。以前はヒカンザクラと呼ばれることが多かったが、良く似た名前のヒガンザクラ(彼岸桜)と区別するために、最近はこう呼ばれることが増えてきた。
カンヒザクラは、中国大陸と台湾、そして琉球列島に分布する。本州では、東京以南で栽培されている。
カンヒザクラの花の特徴は、ややうつむきかげんに咲くこと、あまり花が開ききらないこと、そして、桜としては濃い目の、緋色の花びらを持つことだ。ソメイヨシノを見慣れた目には、違う種類の花のようにも映る。

名護城（なんぐすく）には約2万本のカンヒザクラが植えられている。大正2年頃、地元の青年団が約50本の桜を植えたのが始まりだ。
ここでは昨日から桜祭りが行なわれている。混雑を覚悟してきたが、案の定駐車場はいっぱいだし歩道にも人が多い。沖縄には米軍基地がたくさんあるとはいえ、花見客の3割ぐらいが外国人だったのにはちょっと驚いた。
カンヒザクラは、咲く時期や咲き具合に個体差が大きいが、名護城では見頃の木が多かった。2年前に来たときはほとんど咲いていなかったので、今回来てよかったとしみじみ思う。
不思議なのは、沖縄には桜の下で宴会をする風習がないことだ。歌と踊りが盛んな沖縄のことだから、むしろを敷いてにぎやかに宴を催すグループがいてもおかしくないのに、そうした姿は全く見られない。

続いて八重岳に到着。八重岳の頂上に向かう道沿いに約4000本のカンヒザクラが植えられている。
沖縄以外では、山の裾野から山頂に向かって桜が咲いていくが、沖縄の場合は山頂近くから山麓に向かって開花していく。
一般的に桜は十分な寒さを経験して始めて開花する（このことを休眠打破という）。気候の温暖な沖縄では、平均気温の低い山頂から咲き始めるのだ。
また、沖縄の桜前線は、北から南に向かって進む。南部より北部のほうが気温が低いため、北部のほうが先に開花するからだ。昨夕、名護や八重岳よりも南にあたる、那覇市内の与儀公園の桜を見に行ったが、名護城や八重岳ほどは咲いていなかった。

八重岳では散り始めている桜も多い。カンヒザクラは散り方が他の桜とちょっと違っていて、花びらがバラバラにならず、花びら5枚とおしべが一体になったまま落ちる。
カンヒザクラの花は他の桜に比べて蜜をたくさん出すそうだ。黒くてやや大き目のちょうちょが、蜜を求めて花から花へと渡り歩いていた。

今日の最後は今帰仁城址。こちらの桜も見頃だと言えるだろう。
この城址は見事な石垣が有名だが、石垣と桜がうまく写る構図がなかなか見つからない。いい構図を探しているうちに日没が近くなり、桜に陽があたらなくなったので撮影を終えることにした。
普段オフィスビルの中で仕事をしていると、あまり日没の時間を意識しないし、ゆっくりした自然の時間の進み方を感じることもない。少しずつ少しずつ山かげに沈んでいく太陽を見ていると、ちょっとだけ幸せな気持ちになった。

本州と北海道南部では桜前線の基準としてソメイヨシノを用いるが、沖縄ではカンヒザクラが基準となる。
いよいよ今年の桜前線が沖縄を出発したのだ。

今日の食事

• 朝：沖縄第一ホテルは、沖縄に伝わる薬草を中心とした朝食を出すことで有名だ。今日のメニューは、シークワーサージュース、豆乳、うっちん（鬱金）入りパン、黒糖パン（人によっては紅芋入りパン）、パンにはりんごといちごのジャムか、島唐辛子入りオリーブオイル、ニンニク入りオリーブオイルをつけて食べる。おかずは、ゆし豆腐（にがりを入れる前の豆腐）のスープ、島人参、パパイヤの千切りとクコの実、紅芋をゆでたもの一切れ、島らっきょ、厚さ1cmはあろうかというアロエベラとセロリ、食用のオオタニワタリの新芽、田芋、枝豆、油味噌、ゆで卵（蘭の実の入った塩をかけて食べる）、トマト一切れ、血液を浄化するというニガナの白和え、ヘチマの味噌のせ、大豆を黒酢につけたもの、イワン草の花（糖尿病に効くという）、長命草、生モズク。デザートは甘菓子（5月4日の節句のお菓子で、青豆（もやしの豆）と押し麦で作る）、いちご、小金（くがに）みかんという小さ目のみかん。食後にはレモングラスのハーブティー。オプションでゴーヤとさとうきびのジュースもいただく。それぞれ少量ずつ小皿に盛られて出てくる。値段は3000円(ゴーヤジュース除く)とちょっと高めだが、身体が芯からきれいになれそうな、うれしい食事だ。しかも、個人でこれだけの食材を集めるのはとても難しいから、この朝食は貴重だ。食器にも琉球ガラスや昔からの陶器を使っていて、宿のこだわりを感じる。
  ホテルには部屋が7室しかなく、いつも予約を取るのが難しいのだが、最近はホテルに宿泊しなくても朝食をいただけるらしい。私たち宿泊者7名が朝食を終えた9時には、24名の団体がやってきた。チェックアウトのときにちらっと厨房が見えたが、テーブルの上にたくさんの種類の小皿が24枚ずつ積み上げられていて、3，4名の女性がとても忙しそうに料理を盛りつけていた。
• 昼：名護の我部祖河食堂で、ソーキそばを食べる。かつおだしの沖縄そばの上に、ソーキ（豚の骨付きあばら肉）が乗っている。だしも麺も、やわらかくてちょっと甘いソーキも絶品だ。
• 夕：民宿で、うっちん（鬱金）入りごはん、みそ汁、キスのフライ・パセリまぶし、アカメガシワ・リュウキュウハリキリ・クワの葉の天ぷら、ベニバナボロギクの白和え、島豆腐、沖縄ひじきとこんにゃくの煮物（沖縄ひじきは長さ20cmもあるため、短く切って使うのだそうだ）、島人参（こちらは長さ1mぐらいあるという）と人参と大根の煮物。天ぷらには、海水から作った粟国の天然塩が添えられた。普通の塩の数十倍の値段だが、最近人気があるそうだ。塩だけなめても確かにおいしかった。
  朝食も夕食も自然の素材がうれしい。

今日のレンタカーでの走行距離：99Km。

今日の昼寝：なし

今日の宿：今帰仁村のファームハウスという民宿。オーナーさん夫妻と旅の話で盛り上がり、気付いたら0時近くになっていた。