モバイラー中ちゃんの気まぐれ桜旅 title


今シーズンの桜旅のあとがき


2001.8.19作成


昨年9月下旬から毎週続けていた桜の花を探す旅を、7月21日をもってやっと終えました。

7月8日には長野県乗鞍岳で桜の花を見ることができましたが、続く7月15日の立山室堂では花のついた木まで距離があったため桜と確認することができず、また7月21日の北海道斜里岳では4日前にあったという花が落ちてしまっていました。
そのため桜の花を最後に見たのは乗鞍岳となり、「毎週桜旅」はその日をもって繰り上げ終了となりました。
2000年9月24日に鎌倉市で第1週を迎えてから、数えて42週目の閉幕です。
昨シーズンに私が樹立した連続花見の世界記録(もちろん非公認記録(笑))38週を、更に4週更新したことになります。

42週というのは、1年の約8割にあたります。おそらくほとんどの方が、そんなに長い期間にわたって桜の花が見られるとは信じられない、とおっしゃることでしょう。

昨シーズンに初めて毎週桜旅を実行し、「もうこんな辛い旅はしない」と言っていたにもかかわらず、再び毎週の旅を続けてしまいました。


「毎週桜旅」を思いついたきっかけ
昨シーズンのあとがきの再掲です。
私は95年と98年に会社を辞め、九州から北海道まで桜前線を追いかける旅をしました。1ヶ所にとどまっていると桜前線が通過するのはほんの一瞬ですが、場所を移動しながら桜を見ることによって、3月下旬から6月前半までの長期にわたって桜の花を楽しむことができました。

私は98年夏にとある会社に再就職をしました。それまでに貯金をほとんど使い果たしてしまったため、まっとうに働かなくてはならなかったのです。
会社勤めを再開したとは言え、桜や旅に対する興味は全く衰えませんでした。私がもし一生困らない資産を持っていたら、仕事なんかせずに1年中旅をして暮らすことでしょう。でも、私も両親もお金とは縁遠い人間です。
すでに転職の限界と言われる35歳を迎えてしまったため、旅のために会社を辞めることはもうできそうにありません。
「会社勤めをしながら桜をとことん楽しむ旅はできないものか」といつも考えていました。

ところで、日本には約350種類もの桜があります。そのうち10種類程度は秋や冬に花をつけるのです。
これらは狂い咲きではなく、もともと秋や冬に咲く性質を備えています。
いろいろな本やホームページなどを調べていて、秋・冬咲きの桜が全国各地に150ヶ所近くもあることを知りました。また、その開花時期は9月下旬から1月下旬の間にかなり散らばっていることも分かりました。毎週でも花見できそうな程です。
1月下旬になってしまえば、沖縄のカンヒザクラや本州各地の早咲の春の桜が咲き始めます。更に3月下旬になれば、2度の桜前線を追う旅の経験を生かして、桜を追いつづけることができるでしょう。
「もしかしたら、秋から翌年の夏まで、毎週花見をすることができるのではないか」。
これが毎週桜旅を始めるきっかけでした。



では「毎週桜旅」とは?
昨シーズンのあとがきの再掲です。

私が勝手に決めた毎週桜旅のルールです。
・土曜日か日曜日のどちらかに桜を見る。
・毎週続ける。
・シーズン中の毎週桜旅の間に1度行ったところには、2度は行かない。
・1輪でも咲いていれば可とするけれど、できるだけ見頃の桜を探す。

今シーズンも、自分で決めたこれらのルールでいろいろと辛い目に遭いました。



今シーズンの旅も苦労しました
最後の旅を終えて東京に戻ってきた時、これまでだって平日は東京でちゃんと仕事をしていたはずなのに、10ヶ月の長旅を終えて久しぶりに東京に帰ってきたような、とても変な気分でした。
東京で見るものが、先週末までと違ってなんだか新鮮です。
翌日にいつも通り会社に出社したとき、同僚たちに思わず「ただいま、久しぶり!」と言いたくなりました。
自分の頭の中の季節が、早春から真夏へと一気にジャンプしました。

もう、こんな大変な旅は2度としないと思います(これは昨シーズンにも言ったせりふなのですが(笑))。

昨年と同様、桜旅の日程調整は困難を極めました。
その週の土日にどこを訪ねるかは、ほとんどの場合木曜日か金曜日にならないと決まりません。目星をつけていた何ヶ所かの市町村やビジターセンターなどに電話し、桜の咲き具合を比較し、どこにいくかを決めるのです。
そのため、航空券の場合、早割、超割といった割引をなかなか使うことができません。せいぜい、前日までに予約すると安くなる特定便割引程度です。
航空券とホテルが一緒になった格安のセット旅行も7日前までに申し込まなければならず、今年は一度も使えませんでした。
誕生日から15日間国内線が片道1万円になるJASのバースデイ割得も、21日前までに予約しないといけません。21日前に桜の開花具合は予想できないため、こちらも使うことはできませんでした。
予測がつきにくい自然相手の旅なので、かなり財布には打撃となりました。


生まれて初めて見た7月の桜

驚くべきことに遅い年には8月上旬まで桜の花が残ることがあるそうです。しかし、8月の桜はよほど運が良くないと見られないようです。
そこまで望まなくとも、せめて自分の誕生月である7月の桜を見てみたいと思っていました。その夢が今年叶いました。
7月1日に長野県の蓼科山頂でタカネザクラを見ました。2時間近くガレ場を登って到達した山頂付近で、8本もの桜を見つけることができました。疲れと感動で、しばらく桜の前でへたり込んでしまいました。
また、その翌週には同じ長野県の乗鞍岳で、森林限界ぎりぎりにあるタカネザクラ5本を見つけました。そのうち1本は、枝張りの直径が5mはあろうかという大桜で、根元に近い幹の直径は約20cmの太さでした。厳しい環境に対応するため枝は地を這うように四方に伸びていて、樹高としては1mもありません。酷寒、強風、豪雪という3重苦に耐え、よくここまで大きくなったものだと感動しました。
このように、7月にも入ると桜は高山部でしか見つけることができません。そして、標高が上がるにつれ環境が厳しくなります。
夏に花を付ける桜ほど、たくましい桜と言うことができると思います。


心に残った桜

今シーズンもたくさんの種類の桜を見ました。
印象に残った桜に順位を付けてみたいところですが、どれもすばらしくて1位をあげたくなります。ランキングができそうにありません。

秋から冬にかけて見られるのは10種類ぐらいに限られますが、その中でも、熱海市の堂々たるヒマラヤザクラ、世紀越えの大みそかに見た東京・妙正寺の形のいいシキザクラ、珍しい東京の雪景色の中で見た靖国神社のシキザクラなどが印象に残っています。
また、早春は、桜に詳しい知人と回った伊豆・河津が楽しかったですし、勉強にもなりました。
4月上旬から5月上旬までは、東京・神田川沿い、立川市・昭和記念公園、青森県弘前城、北海道南部などでソメイヨシノを中心に撮影しました。ソメイヨシノはその壮麗さをもって全国に春を告げて回ります。
5月中旬からは北海道のオオヤマザクラ、チシマザクラを見ました。長く厳しい冬に閉ざされる北海道に春の喜びを伝える桜たちです。オオヤマザクラの少し濃い目のピンク色が、まだ冬枯れの色を残す大地の上で引き立ちます。
6月からは、自生のミヤマザクラ・タカネザクラ・チシマザクラを追いました。前に書いたように7月の桜も素晴らしかったですが、6月24日に見た長野県・栂池自然園のタカネザクラも、厳しい環境の中で実にたくましく育っていました。桜から生きるエネルギーを分けてもらいたいとさえ感じました。自生の桜の持つ魅力に気付いたシーズンでした。


毎週桜旅で辛かったこといろいろ

今年も結局風邪をひいてしまいました。ゴールデンウイークの北海道の寒さで風邪をひき旅行中に発熱までしてしまいました。熱がある状態で車の中で寝なくてはならなかったのはかなり辛い体験でした。
その後もしばらく治らず、体調の悪かった5月第3週にはせっかく2ヶ月前に予約していたウルトラ割特(片道1万円)の北海道行きの航空券をキャンセルせざるを得なくなってしまいました(ただ、その週は長野県奥蓼科温泉を日帰りで往復し、なんとか毎週桜旅の記録は継続することができました。)。
その風邪は、6月中旬になってやっと治りました。こんなに長引いたのは久しぶりです。やはり毎週桜旅で体が疲れていたのでしょうか。

今年も航空券の値段の高さには参りました。今年は、あまり割り引きのない料金ですでに沖縄を2往復、北海道を5往復しています。JASに表彰してもらいたいくらいたくさんお金を使ってしまいました。
(マイレージという特典が付くといっても、北海道の場合で12,3往復しないと無料航空券がもらえませんから、微々たるものといえるでしょう。ちなみに今年6月の東京−千歳往復は、これまで3年にわたって貯めてきたマイルを初めて使ったものです。)

JRのレール&レンタカーも、奥蓼科温泉、赤城山、蓼科山、乗鞍岳で活用させてもらいました。JRの乗車券が2割引、特急券が1割引になります。また、レンタカーも1割引くらいになりますが、私がいつも借りる小さいクラスだと残念ながら割引は発生しません。


食は旅の彩り

今年も各地でいろいろとおいしいものを食べました。旅で見つけた桜が素晴らしかった時に出会いの喜びを倍加させてくれたのも、桜が散ってしまっていた時に慰めてくれたのもおいしい食事でした。特にその地方ならではの食材を使った食事に感動しました。

3月3日にお邪魔した静岡県河津町の宿河鹿庵の夕食は、鮎、鯉、山女、いのししなど、地元産の食材にこだわっていて、しかも手の込んだすばらしい料理でした。是非もう一度味わってみたいものです。宿の雰囲気も木の温もりが優しくていい感じです。
沖縄の食事もすばらしいですね。沖縄第一ホテルの健康的な夕食と朝食、そして島内各地で食べただしのうまいソーキそばが忘れられません。
シーズン後半の旅では、本人も意図しないうちに桜、温泉、そばの3つが必ずセットになっていました(笑)。そのそばの中では、7月21日に訪ねた北海道清里町のそば処寺嶋のどっしりした重量感のあるそばと、ゆでている間に麺から溶け出したそばでどろどろになった濃厚なそば湯が脳裏と舌に焼き付いています。
ここの他にも、鎌倉市の段葛こ寿々、調布市の神代植物公園近くにある松葉茶屋の十割そば、北海道上ノ国町宮寿司のそばと寿司のセット、福島県猪苗代町こがねそばで食べた大盛りのこがねそば、群馬県赤城山麓の手打ちそばさゝや、蓼科登山の疲れをいやしてくれた信州望月町の寿司入船の十割そばも美味でした。
麺類では、群馬県鬼石町桜山公園の売店で食べたおっきりこみうどんも素朴でおいしかったです。ほうとうに近い麺でした。
私は豆腐やゆばも大好きです。横浜町の湧水亭の目の前で作ってくれるおぼろ豆腐や、身延山のゆば処やまだやで食べた歯ごたえのデリケートなゆば定食も忘れられません。
たまたま北海道に来ていた友人と2人で、道の駅厚岸グルメパークのあぶりやという炭火焼コーナーで、生がき、ほたて、ホッキ貝などを焼いて食べたのも楽しくておいしい思い出です。
すばらしい駅弁にも出会いました。幕の内弁当では、京都駅で買った「精進弁当」が手のかかり具合や見た目、味の総合点では最高でしょう。三島駅の「めし彩時季」、東京駅で買った「大江戸味くらべ」もそれに続きます。
1つの素材を中心にしたお弁当としては、北海道厚岸駅の「かき弁当」が相変わらず素晴らしい味でしたが、以前よりもかきが減ったような気がして、ちょっと残念です。大船駅の「さざえの浜ごはん」もこりこりしたさざえの歯ごたえが忘れられません。

さあ、来シーズンは旅先でどんなすばらしい食事に出会えるでしょう。


3つの野望

昨シーズンのあとがきに書きました通り、私は桜に関する3つの野望(笑)を持っています。
こうして書いておくと何かいいことがあるかも知れないので、貴重なスペースを割かせていただきたいと思います。
(1)このホームページを本にすること
(2)テレビに出演して、桜をレポートすること
(3)日本のどこかにさくら資料館を作ること(定年後でも可)

今春出版された学研フィールドベスト図鑑「日本の桜」に、桜の旅を通して撮影してきた写真数点を提供することができました。(1)の野望の世界をほんの少し覗くことができた体験でした。


謝辞

まずは、このページをご覧くださった皆さんに感謝したいと思います。駄文と駄作(写真)にお付き合いいだき、ありがとうございました。

また、travel@niftyの2人のHさんにも感謝しております。私の好きなようにさせていただき、本当にありがとうございました。
同じく@niftyのTさんにも感謝しております。98年にこのページを始めてからずっとお世話になっております。

それから、会社の同僚にも感謝したいです。皆さんのご理解と励ましがなければ、仕事の疲れのせいで、旅を途中で断念していたでしょう。
時に私を励ましてくれ、時にけしかける(笑)H君とU君に感謝します。

私の友人達からのメールにもずいぶん励まされました。特に、Yさんは私が風邪でダウンした時に長野の桜情報をくださいました。ちゃんと開花していましたよ。本当にありがとう。

また、今シーズンも同好の士のMさんにはたくさんの桜情報をいただきました。特にMさんがお好きな山の桜の情報は大変助かりました。7月上旬まで桜を見続けることができたのはMさんのおかげです。本当に感謝しています。



おわりに

昨年も書きました桜への恋は、冷めるどころかますます過熱しています。やらないと言いつつ、今シーズンもまた毎週桜旅を続けてしまいました。
来シーズンこそは、毎週の旅にこだわらず、何か別のテーマで桜を追いたいと思います。
会社の同僚たちは「次は海外か」と期待しているようです(^^;;;。
確かに、アメリカ・ワシントンや中国・四川省、ネパールなど、興味のある場所がいくつかあります。いつかは日本の枠を飛び出さないといけなさそうです。
とはいえ、当日朝に行き先を決めて北海道に飛ぶのとは訳が違いますので、じっくり調べてチャンスをものにしたいと思います。
と、このような大それたことを書いていて、結局これまで通り手近な国内ばかり回っているかも知れませんが、その際はお許しください。

次のシーズンは、9月中〜下旬頃に始まります。秋咲きのジュウガツザクラ、フユザクラ、コブクザクラなどが各地で咲き始めることでしょう。その頃に、また桜旅を再開したいと思います。

では、2001年9月にまたお会いしましょう!
ありがとうございました。


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